本堂内に入ると、正面の阿弥陀様の上に並んだ美しい金色の

狭間(はさま)が目に入ります。狭間とは本堂の欄間のことで

お浄土の世界を表しています。

当寺の狭間は明治15年に本堂の屋根葺きが行われ建設資金

の不足もあり格天井は大正年簡に完成しています。すべて

が一気につくられたわけではなく,7間7枚仕立てですが

どのように資金を募財し7枚すべてを完成させたかは寺史

にもはっきりとした記録がありません。格天井の完成時期

と重なるかもしれません。

 

ご門徒の方たちの強い信心を垣間見たように思います。中

央の3枚には躍動的な龍が、両側のそれぞれ2枚ずつには天

女がいます。本堂改修の際に取り外され、傷んだ部分を補

修して金箔と彩色が施され,生き返りました。この輝きは

ご門徒の信心の証でもあります。


龍の彫刻の3枚のうち、中央の龍の口は阿形です。右側と

左側の龍の口は吽形です。いずれも立体的で躍動感があり

ます。

中央の龍の狭間。龍は手に玉をにぎっています。

 

天女の彫刻のものは全部で4枚ありますが、表情やポーズ、

手に持っているものが蓮の花や太鼓などそれぞれ違います。

どれも一枚一枚違ってとても素晴らしい作品となっていま

す。補修再生の技術に感動しました。

右から二番目の天女。両手で大事そうに蓮の花のつぼみ持

って微笑んでいます。

 

本堂大間の北側に大きなテーブルがあります。これは以前

の本堂正面中央出入口の上に設置されていた山号額を再生

保存しました。

山号額は、前々住職の時代に、昭和初期から戦後にかけて

眞養寺が徐々に整備されていき,昭和30年代前半に,当時

法務大臣花村四郎氏が眞養寺を訪れました。

 

大臣の訪問宿泊と前々住職の長寿祝いを兼ねて地元の二つ

の自治会より「老僧長寿記念」としてご寄進いただきまし

たのがこの山号額です。

 

木材は舟板の底の部分を使用し希少財です。保存を検討し

ていましたら,畳職人さんが、テーブルとして再生保存す

ることを提案したくれました。テーブルの木枠は杉で,高

価なものです。作成は欄間屋に依頼しました。

 

このテーブルは現在、仏事での休憩時やご門徒や有縁の皆

様が団欒の場の中心として使われています。

 

加工の際、切り取った部分。「老僧長寿記念」と、ご寄進

いただいた地元の二つの自治会名が彫られています。テー

ブルの近くに保管し飾っています。

 

改修前の本堂正面中央出入口の上に掛かっていた頃。

 

現在は山号額に変わって寺号額が設置されています。

寺号額は欅の一枚板で、厚みは7cm。よく乾いていて、

木目もとても細かく赤身です。重さは約70kgもありま

す。寺号の文字は、書家に欄間職人が依頼し、書道の師範

の方が筆を執り、職人が彫りました。

 

本堂南側の壁面には、本堂改修工事に際し、御懇志をいた

だいた方のご芳名を、その下には眞養寺の沿革を掲示して

います。

多くの皆様からお力添えいただいたおかげで、素晴らしい

本堂が出来上がり現在に至ります。今後も護持興隆に努め

てまいります。

 

これまでブログで見どころを紹介してきましたが、それら

以外にも素晴らしいところがたくさんあります。スタンプ

ラリーで来寺された時には、本堂内外ともにゆっくりご覧

いただき、また、当寺の歴史についても知っていただけた

らと思います。