真宗教団連合が毎年発行している法語カレンダーの2月の

言葉を紹介します。このカレンダーは報恩講前の11月中旬

に各ご門徒さんと有縁の方にお配りしています。

「念仏をはなれて仏もなく自分もない」 金子大榮(1881

~1976)真宗大谷派僧侶・大谷大学名誉教授の言葉です。

 

真宗門徒である私たちのご先祖は、報恩講や仏事を通して、

長い歴史をかけて、人と人とのぬくもりある関係を築いて

きました。「人と人とがふれあい、顔を合わせ、教えを聞

くこと」は、私たちの教えそのものです。

 

我が宗派のご本尊は、南無阿弥陀仏の六字の名号です。こ

の名号は阿弥陀如来に帰依することを意味しています。

 

本堂の内陣中央の姿形をした立像ですが、その姿は方便化

身です。あの姿はあくまで仮の姿であり、本来、阿弥陀様

とは無色透明なものです。私たちの心のなかにあります。

 

その人を思う心をかたちとして人間がわかりやすいように、

あのような姿となっています。

 

阿弥陀様に向かって手を合わせ、「南無阿弥陀仏」とお念

仏を唱えることは、感謝の心の対象へ思いを馳せることで

あり、亡き人の思いと生き方を振り返り自分自身を見つめ

直すことです。

 

生んでくれてありがとう、生まれてきてくれてありがとう、

傍にいてくれてありがとう。相手があってこそ、自分があ

ります。

 

真宗の教えとは、念仏往生の教えです。ぬくもりある関係

とは、浄土の世界を表します。浄土は死後の世界ではなく、

この世の私たちの生活の中にあります。

 

家庭や職場など、普段私たちが送る日常生活の場で、「南

無阿弥陀仏」と唱え、感謝の心を常に持ち続けることが、

浄土を創ることであり、真宗門徒の生き方だと思います。

 

私たちは念仏を離れると念仏も自分もないことになります。

念仏そのものが私であり念仏抜きに自分はありません。