能登半島地震で大規模火災が発生した輪島朝市通り周辺。焼
失面積は約5万800平方メートルに及び、約300棟が焼損しま
した。
(国土交通省 国土技術政策総合研究所 現地調査結果より)
日本三大朝市の1つとされる「輪島朝市」は、市内でもひと
際にぎわう観光名所でした。その歴史は約1200年前に遡り、
通りには新鮮な海の幸などがずらりと並び、「こうてって
(買っていって)という店主たちの元気な声が、あちらこち
らから飛び交っていました。
私の母の実家が輪島市にあり、子どもの頃は年に数回、日帰
りや泊りで行っていました。輪島市内の店舗に買い物に行っ
たり、夏祭りに連れていってもらったりしました。年の近い
いとこも多く、行くといつも賑やかで楽しかった思い出ばか
りです。
能登に住んでいた頃は、朝市へは行ったことはありませんで
したが、大人になり数回行く機会がありました。店主は女性
が多く、高齢の方も多くみえました。どの店も活気に満ち溢
れ、朝から元気をもらったことを覚えています。
その朝市復活の動きが今、進んでいると知りました。
一時的な復活案として、「出張朝市」が検討されています。
輪島朝市から約90キロ離れた金沢市の金石地区が候補地な
っていて、金石港で水揚げされた魚で干物を作る案や、港
の近くで露店を設置する案などが出ているそうです。
震災から3週間が過ぎ、まもなく一ヶ月を迎えます。朝市
通り周辺は大規模火災で全てを失い、市内全体もまだまだ
復興の兆しが見えない中、前向きに再建を目指す朝市の方
々のその強さ、たくましさに驚き、胸が熱くなりました。
朝市では、人と人とが顔を合わせて、直接やり取りする中
で生まれる、ぬくもりある一体感がありました。これはま
さに、真宗の教えです。
そこに根付いたものが、朝市復活への強い思いに結びつい
ているのではないでしょうか。震災を通して、その土地に
溶け込んだ真宗の教えが、本人も意識しない中で、心の支
えになっているのではと思います。
17時の風景。冬至から1か月以上が過ぎ、随分日が長くな
りました。たくさん積もっていた雪は、わずか2日の間で
ほとんど溶けてなくなりました。