1月14日に開催された都道府県対抗女子駅伝。今年、特別

な思いを胸に、笑顔で走り抜けた一人の選手がいました。

 

一区で区間賞を取った、石川県チームの五島莉乃選手です。

 

元日、五島選手は帰省から東京へと戻る新幹線の中で被災

しました。石川を出てすぐで、約12時間、新幹線の中で過

ごしたそうです。

 

4日から予定されていた合宿は中止、それぞれが京都入りを

し、選手全員が揃ったのはレース2日前でした。練習ができ

ない状況の選手もいたり、スタッフも大きな心労を抱えて

いましたが、全員が『石川県のために』という強い思いで

レースに挑み、それぞれがベストを尽くして43番目でゴー

ルしました。

 

キャプテンでエースの五島選手は、つらい状況の中でも気丈

に振る舞う中高生の選手たちを守り、試合前の一つひとつの

取材に丁寧にそして真摯に応じました。

 

「昔から明るいキャラクターで、後輩を気遣う優しい人柄、

緊張している中学生の子達に「大丈夫だよ」と言葉をごく

ごく自然にかけられる素晴らしい先輩でアスリートです」と

石川県監督は五島選手の人柄を称えます。

 

五島選手は、「笑顔で頑張りたい」という言葉を繰り返し、

朗らかな笑顔でチームを引っ張りました。

 

「私たちが襷を繋いでいる時の思いが、どうか石川県の皆さ

んに届きますように」 「最後まで笑顔で襷渡しができます

ように」

 

石川のユニフォームを着て走ることが大きな力になったとい

う五島選手。ふるさとからのパワーをもらった五島選手の走

りは、多くの人の心を揺さぶりました。

 

笑顔で走り切った五島が、涙を見せたのはレース後のことで

した。

 

「沿道から『石川がんばれ』と応援をいただき、走っていな

がら胸がいっぱいでした。石川県のみなさんに少しでも私た

ちの走りが届いているとうれしいなと思います」と涙をぬぐ

いながらインタビューに応じました。
 

五島選手は今後、パリ五輪での日本代表の切符を手にするた

め、5月の日本選手権に向け、これから厳しい練習に向かっ

ていくとのことです。ふるさとへの思いを胸に、頑張ってほ

しいと思います。

 

2位との差は35秒差で1区区間賞を獲得し走り抜けました。

石川の人たちを力強いエールを送りました。沿道の声援を

送る人たちも石川に温かいエールを送りました。

 

1区、沿道の応援を受けて力走する石川・五島莉乃選手。

(写真 日刊スポーツより)