「能登はやさしや土までも」

 

能登で古くから言われている言葉で、観光のキャッチフレ

ーズにもなっています。能登出身者なら誰もが知っている

言葉です。

 

この言葉は、「人はもとより土までもやさしい」という農

の風土を表しています。また、土は地面の土だけでなく、

人間の根本も指し、裏も表もやさしく、素朴で温かいとい

う意味を表しています。

 

その言葉の由来は、元禄時代にまでさかのぼります。

 

元禄9年、加賀藩侍「浅加久敬(あさかひさのり)」が初

めて能登へやってきました。その紀行文が「三ヶ月日記」

で、ここに「能登は優しや土までも」の由来があるそう

です。

 

久敬が道すがら、綱とる馬子の愛らしい笑顔に出会って

「能登はやさしや」とはこのことか、と納得したと伝わっ

ています。

 

久敬はその十数年後にも能登を訪問し、その際、宿の主人

から「今日はめでたい節句だから」と、草餅と桃酒を振る

舞われ、このもてなしに、「世間で『能登はやさしや』と

いうが、本当にその通りだ」と旅日記に残したそうです。

(東京新聞 コラム〈筆洗〉2023年5月6日参考)

 

北陸三県は「真宗王国」と言われ、浄土真宗の寺院が数多

くありますが、その文化は寺院や寺町といったハード面だ

けでなく、人々の生活にも溶け込んでいます。

 

真宗門徒である私たちのご先祖は、長い歴史をかけて、人

と人とのぬくもりある関係を築いてきました。「人と人と

がふれあい、顔を合わせ、教えを聞くこと」は、私たちの

教えそのものです。

 

その真宗門徒の生活が今回の大地震で一瞬にして壊されま

した。現在、多くの方が避難生活を余儀なくされています。

 

今日もまだ余震は続き、雪も降り、山崩れや道路の崩落、

寸断により人命救助も難航しています。能登の出である私

は、毎日ただ手を合わせるのみです。

 

白米千枚田(tenki.jpホームページより)