何千時間、何万時間練習しようとも、本番で成果が出なければ終わり。
1秒も練習しなかったも同然。
僕はそんな恐ろしい世界に住んでいる。

でも、何よりも恐ろしいのは、「本気の出し方を忘れること」だ。
本気でやったことを笑われたりバカにされたりしたら、あるいは人は生きていけないほどのダメージを与えられる。
だから、本気を出してる人間はノーガードでリングに上がっているようなものだ。
そして、芸術や表現なんて、悪く言って言えないことはない。
どんなに上手くやっても、悪意のある人、もしくは面白がって陰口言う人なんかには絶対勝てない。

だから、一度でも本気をバカにされたら、次からは90%くらいの力でやるようになる。
10%の心の保険をかけておくのだ。
「悪く言われたが、まあ、本気じゃないからね」という具合に。

でも、自分でも知らずにその割合が増えていってしまい、50%の力で何かをやろうとしたくらいにハッとなる。
「こんな力抜いて出来るはずないじゃないか」と。
そして、急に取り戻そうと本気の引き出しを探すが、もうどこにあったかわからなくなる。

こうなると、本気の出し方をまた思い出すのにかなり苦労する。
これが、表現者にとって一番恐いことだと思う。

だから、毎回出し惜しみせず、ガムシャラにやる。
それが正解だと思う。

上手くいってる人は虎視眈眈と計画性をもって歩んでいるように見えるかもしれないが、違う。
確かに、スマートな目標立ては必要だが、やることは至ってシンプル。
ガムシャラに目の前の仕事をこなすことだ。

走って走って、走り続けてもう本当に倒れそうになった時、一度立ち止まって自分の成果を見てみる。

すると、自分でも意外なほどの道のりを走れている。

そんなものだ。

ゴールを見て、しっかりと方向性を確認し、そして、いざ走る時は本気の本気でガムシャラに。

たまに、ごくたまに、自分へのご褒美に達成感をあげるんだ。