今日はこんなお話をご紹介。教師冥利に尽きますね。


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「先生、一緒に卒業ですね」――。茨城県高萩市立高萩中(生徒数426人)で7日、9日の3年生の卒業式を前に、3月で定年退職する蛭田隆久校長(60)の“卒業式”が行われた。


 生徒たちが本人に内緒で企画したもので、突然、卒業証書や花束を手渡された蛭田校長は「退職までしっかり頑張ります。ありがとう」と涙で声を詰まらせ、会場は大きな拍手に包まれた。


 卒業式は、7日午後から行われていた3年生を送る会が終わった後、生徒が「校長先生の卒業式をやりましょう」と呼びかけ、スタートした。前生徒会長が「教職生活37年を、児童生徒のために誠心誠意尽くしたことを証する」と述べ、蛭田校長に卒業証書を授与。続けて、生徒たちが花束や似顔絵などを贈呈した。


 生徒代表の3年生が、作文で賞を取った際に話したときの思い出や面接練習をしてくれたことを振り返り、「おちゃめで、私たちのことを考えてくれる先生のおかげで活気ある温かい中学校が生まれた。先生と一緒に高萩中を卒業できることをうれしく思う。長い間、お疲れさまでした」と感謝の言葉を贈り、生徒全員で「旅立ちの日に」を合唱した。


 蛭田校長は「涙を見せるつもりはなかったのに……」と漏らしながらも、「このようなことをしてくれる子どもたちに育ってくれてうれしい」と、教え子たちの気持ちをかみしめていた。

2011年3月8日10時01分 読売新聞)