ブレインストーミングというものを皆さん聞いた事があるかと思います。アイデアの実現性、良し悪しは問わず、頭に浮かんでくる言葉を次々と書きとめていくという手法です。よく知られている手法ですが、今日は、ブレインストーミングもこんな風に使えるんだなという例を日本メンタルヘルス協会の衛藤先生のお話からご紹介します。
アメリカに住んでいた夫婦は、結婚記念日に、ミュージカルを見に行くことにしました。人気のあるミュージカルだったので、あらかじめ予約をしておき、その日を前々から楽しみにしていました。この家族には、娘が二人いて、この日は、小さな方の娘の世話を、お姉ちゃんに頼むことにしました。しかし、お姉ちゃんはこう言いました。
「その日は、もうお友達の家でパーティーをすることになってるの!」
「そこを、なんとか、キャンセルして、妹の面倒を見てくれないかな。お母さんは、このミュージカルをとっても楽しみにしていたんだ。結婚記念日だしね。」
「いやよ!私は前も、お父さん達の都合でパーティーをキャンセルしたのよ!それ以来、友達が付き合いが悪いって遊んでくれないんだから!今度もキャンセルしたら、今度こそ遊んでくれなくなるわ!!」
お父さんとお母さんは、何度も頼んでみましたが姉は頑として聞いてくれません。
さて、皆さんならどうするでしょうか。
ミュージカルに行くのをやめるでしょうか。それとも、頭ごなしに、おねえちゃんに留守番をさせるでしょうか。しかし、それではおねえちゃんも可哀そうです。
そこへ、ホームステイをしていた学生時代の衛藤先生が帰ってきました。すると、カウンセラーが職業のこのお父さんは、こう言いました。
「よし、それじゃあ、家族四人でこの状況に対する解決策を探ろう。さあ、みんなでブレインストーミングだ。のぶ、いいところに帰ってきた。君も入ってくれ。」
衛藤先生は、よくわからないまま参加し、とりあえずアイデアを出させられ、どんなアイデアでもよいので、書いていきます。当の本人の妹も、アイデアを出します。
・ベビーシッターを雇う。
・のぶが面倒を見る。
・ミュージカルに行くのをやめる。
・友達にパーティーの日付をずらしてもらうようお願いする。
・パーティーに妹がついていく。
などなどたくさんのアイデアを出しました。
アイデアの良しあしに関係なく、家族でアイデアをノートに書きつらねた結果、お父さんはこう言いました。
「ベビーシッターを雇うお金はない。これは家族の問題だから、のぶも関係ない。お父さんとお母さんも結婚記念日だから、ミュージカルはぜひ見に行きたい。そこで、友達とのパーティーを我が家でするのはどうだろう。お父さんとお母さんは、ミュージカルの前はデートをするつもりだったが、デートはやめて家で、君たちのために、パーティーの料理と、飾り付けをしようじゃないか。デートの代わりに、昔を思い出して一緒に料理を作ったり、パーティーの準備をするのも、お父さんたちにとってもきっと楽しいだろう。君も、友達とパーティーができるわけだし、妹の面倒も見てくれる。それに、ミュージカルのパンフレットを買ってきて、帰ってきたら、君の友達達にもあげようじゃないか。予約を取るのが難しい人気のミュージカルだから、きっとみんなも喜んでくれるだろう。もし君から言いにくければ、お父さんが友達に事情を説明してもいいしね。」
「お父さん!それはとってもいいアイデアだわ!それならお友達も、きっとうちでのパーティーに変更することに賛成してくれると思うわ!」
こうして最初は喧嘩をしそうだったこの一家も、おとうさんにとっても、おかあさんにとっても、おねえちゃん、妹、友達、みんなにとってハッピーな日になったそうです。日本の家庭でこんな風に、家族でテーブルに座りあって、ブレインストーミングをし、みんなが平等にアイデアを出し合い、親が一方的にアイデアを押し付けるのではなく、みんなにとって良い結果を、みんなで探す、といのはなかなかないと思います。アメリカ的ですが、僕もぜひ見習いたいなあと思わされました。
うーん。素晴らしい。。