今日は日本メンタルヘルス協会の衛藤先生のお話から。



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昼間の小児病棟はとてもにぎやかです。とても小児ガンで苦しんでいる子供たちの病棟とは思えないぐらい。そして小児病棟には絶対守らなければならないルールがあります。



それは、親は絶対に病室で泣いてはいけないというルール。



夜明かりが消えて、子供たちが寝静まると
両親たちが声を押し殺して泣くのだそうです。



痛い思いをさせてごめんね。苦しいよね。
あんな痛い注射を打ってごめんね。

目の前で病魔に苦しむ幼いわが子の苦しみを、

できれば親の自分たちが代わってあげたい。



塗炭の苦しみとはこういうことをいうのでしょう。





この小児病棟に、「しゅん」というひとりの男の子がいました。

しゅんは目の裏側、脳の前頭葉の部分にできるガンで、摘出が不可能でした。放射線治療も間に合わず、とうとう目が変形してしまいました。



親は夕方になるとカーテンを閉めます。
反射してしゅんしゅんの顔が写らないようにするためです。
そして部屋の中のありとあらゆる鏡は撤去しています。



それでもある日看護婦さんが持っている手鏡をみつけたしゅんは、



「看護婦さん、少し手鏡を貸してください。」



新任の看護婦は、深く考えず手渡したそうです。


しばらくじーっと自分の顔を手鏡で見た後、


しゅんは看護婦さんにこう言ったそうです。



「ありがとう。


僕が鏡を見たことはママには内緒にしていてね。」



この言葉で全てを察した看護婦は、非常に後悔したそうです。


彼は、自分の顔を見たショックよりも、

親の気持ちの方を思いやりました。



亡くなる前日に、いつもは聞き分けの良いしゅんが
お母さんに何度も何度もぐずったそうです


「ねぇ、ママ。僕の病気は治るの?


僕は大人になってお巡りさんになりたいよ。


なれるよね?


僕大人になりたい。」




そう言って泣いた翌日、彼は天使になりました。
しゅんは自分の最後をどこかで感じ取っていたのかもしれません。

両親の悲しみようは尋常ではなかったそうです。


人一倍やさしかったあの子がなぜこんなに苦しんで死ななければならなかったのかと。わが子に先立たれる親の悲しみほどつらいものはないでしょう。



しゅんは大人になることが夢でした。


私たちはしゅんのなりたかった大人になっています。


学校に入学できること、卒業できること、


恋愛ができること、失恋の経験ができること、


成人式を迎えられること、


結婚し、家族が持てること、


私達はしゅんのなりたかった夢を生きています。


衛藤先生のお話を聞いていて、


つらいと思える出来事を経験できることさえ、


幸せなことなんだなと考えさせられました。


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