私が中学生の時の話。

なので遡ること15年くらい前ですね。

クラスメイトに変わった男がいました。
ここでは彼の名前をYKTとしましょう。

YKTは中学生のくせにやたら老けていて、色白で濃い顔、
そして少し恰幅がよくて姿勢もよく、博士風の雰囲気を
持ち合せていました。
ズボンは腹の真ん中まであげていて、
やもすればサスペンダーが似合いそうな着こなしでした。
たまにチャックが空いてました。

とっつきにくい感じの彼は、その通りとっつきにくく、
限られた友達としか関わりませんでした。

そのくらいであれば、特に印象もなくサヨナラなのですが、
彼は何より声が高かった。。。

学芸会の時、国語の朗読のとき・・・

爆笑の渦のど真ん中に、彼はいた。

当然、彼からしてみれば不本意で、とても機嫌は悪そうだった。

しかしそこはさすが中学生、おかまいなしに彼を
いじり続けた。
真似をし続けた。

そんなある日、事件が起こる。

朝のホームルームで、新聞記事のネタを取り上げて
発表する時間だった。

彼は、1986年に起こった、あの忌まわしき
「チェルノブイリ原発事故」を取り上げた。

原発、といっても当時の中学生にはそこまでピンとくるものはなく、
お決まりの爆笑タイムだった。
しかし彼の発表はいつも以上に本気で、事故の悲惨さや
原発の危険さを、訴え続けた。

もちろん、バカな中学生たちにとっては、

「チェルノブイリ!!!!」という高らかな声真似が
大好物となり、その後もずっと語り続けられた。


あれから10年あまりで、日本でも原発事故が起きた。

日本中が、不安と恐怖と怒りにかられた。
今なお原発存続問題は決着はつかず、日本政府の永遠の課題と
なろうとしている。


YKT。

彼は10年も前から、中学生でありながら、
その危険さを訴え続けた。

先見の明というと少し意味合いが異なるが、
彼には見えていたのかもしれない。


彼はいまどうしているだろうか。


どこの高校にいったか、という話もあんまり覚えていない。

この話の流れであれば、東大や京大にても行ってそうな
人物像であるが、いかんせん彼は成績は良いほうではなかった・・・

あの見た目、風貌、そしてキャラで、なぜ勉強は不得意だったのか・・

とても謎に包まれた男であった。


彼は学校の近くのコンビニで、毅然とした態度で
エロ本を立ち読みしていたこともあった。。。。

あの見た目、風貌、そしてキャラで、なぜエロ本をだったのか・・

とても謎に包まれた男であった。


ちなみにそのエロ本ネタはあっという間にクラス中に広まり、
そしていじられるのであった・・・


その時の彼も、やはり不機嫌そうであった。



なんだったんだあいつ。



bye