おはようございます。

丹田呼吸法を極めた、超健康超人のトリです(この頃、蓄積した疲労が抜けません)。

 

日本文化としての身体運動においては、腰と肚が特に重要であると言われる。

「腹に力を入れろ」とか「腹圧を入れろ」と言われたことのある人も多いのではないだろうか。

しかし、実際に力を入れてみると分かるが、腹に力を入れようとすると、息が止まって、長い時間入れっぱなしにしておけない。

 

修練を積んだらできるようになるのかといえば、そうも言えなさそうである。

長時間、腹に力を入れたまま、歩いたり走ったりができるとは思えない。

では、なぜ日本文化に「ハラが大事」という価値観が根強く残っているのか。

 

それは、肚が大事だからだ。

いや、それじゃ、お話になっていません。

 

つまり、「肚が大事」というときの、「肚」の場所が違うのである。

お腹の筋肉といえば、普通は腹直筋を思い浮かべるが、肚は腹直筋ではない。

腹筋運動をして鍛えられる部分を「肚」とは言わないのである。

 

肚は別名「臍下丹田」という。

ここに意識を集中すると、超人的な動きも可能になると言われる。

丹田を活性化する「丹田呼吸法」という呼吸法もある。

 

しかし、臍下丹田(と言われる部分)に力を入れようとすると、やはり同じように苦しくなるだけだ。

つまり、体幹トレーニングといわれる、プランクやクランク、腹筋ローラーなどで鍛えられる場所と、臍下丹田は別のところにあると言わざるを得ない。

 

そこで、これは私の仮説だが、ここで「腰」の出番が来る。

実際、「腰を入れる」という表現もよく聞かれる。

ところが、「腰を入れる」とか「仙骨を入れる」と言われて実行しようとすると、ただ腰が反ってしまうだけという事態が起こりかねない。

 

腰が反ると、動きは悪くなるし、腰痛や肩こりなど、色々と不具合も起こってくる。

この場合も「腰」の場所が違うのだ。

多くの場合、腰を入れようとすると、バーベルを持ち上げようとするときのように、尻を突き出す姿勢になりがちである。

こうすると、骨盤が前傾し、ある種の力は出るようになる。

 

しかし、それは日本文化で言うところの「腰」ではない。

ここで入れたい「腰」は、腰椎のまわりの表層筋肉群(起立筋、腰方形筋など)ではないのだ。

ある人から、胸側の前面を伸ばすようにすると、腰が入る、と教わった。

これをやっているうちに、気づいたことがある。

以下、その仮説を書いてみたい。

 

ことばで表現することは難しいので、概念だけの説明になってしまうが、「腰・仙骨を入れる」というのは、骨盤上部(腸骨と仙骨)あたりに、力を入れる、もしくはそこが締まる、という感じに近い。

このとき、起立筋や広背筋は収縮せず、背骨周りの多裂筋や大腰筋に力が入る、もしくは締まった感じがする。

 

そうすると、おなかの奥の方に、ぐっと力の入る感じ、もしくは裏側から突き上げられるような感じが出る(「力が入る」というと、やはり語弊があるかもしれない。例えば「脱力して立つ」とき、立つための筋肉には必ず力が入っているが、そのことに気づいていないだけである。同様に、おなかの奥に力が入っているとき、当人は力を入れているという感覚がない。だから、力を「入れる」ではなく、「力が宿る」と言うべきかもしれない)。

背骨と骨盤を、前後で挟むような感覚である。

このとき、広背筋や腹直筋には力が入っておらず、背中やおなかを触ると、ぽよぽよのままである。

 

そして、腰とおなかの奥に力が入って、もしくは宿って、締まっているときには、息は止まらず、いくら動いても苦しくならない。

無論、腰を反る必要もない。

つまり、「腰を入れる」を実行しても、見た目は何一つ変わらない。

 

しかし、この状態をキープできると、バランスが良くなったり、重いものを持ちやすくなるなどのメリットがある。ような気がする。

想像に過ぎないが、昔の武士などは、こういう腰と肚の状態を作って稽古していたのではないかと思う。

現代では、動きの基本が西洋式になっているのに加えて、「腰を入れる」とか「肚に力を入れる」ということばだけが残ったため、誤解が生じているのではないだろうか。

 

もっとも、これは私が勝手に「そう思う」だけであって、専門家による統一見解でもなければ、文科省の指導要領でもないので、悪しからずご了承ください。


※ちなみに、ここで言う「腰肚」ができているかどうか、簡単にチェックする方法は以下の通りです。

壁際の5〜8センチくらい離れたところ(10センチ以上離れない)に立ち、肩の位置で手をつきます。

その状態で、壁を力強く押せるかどうか、チェックしてみてください。

壁を押すことで、のけ反ったり、ふらついたり、もしくは押す手に力が入らなかったりしたなら、出来ていないということになります。

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※寝ながらでも、腰を入れる稽古はできます。