真実一路 火曜漫談・増刊号 | 宇則齋志林

宇則齋志林

トリの優雅な日常

おはようございます。

常に多角的な視点から、幅広い情報を収集し、事実と真実を伝えるジャーナリストのトリです(いつも炬燵でこたつ記事を書いています)。

 

ネットニュースに、「ネット情報につい騙される人 残念な五大共通点」というこたつ記事が出ていた。

これを読んだ人が「うんうん、なるほど。その通りだね」と言っている姿を想像しながら、ペロッと舌を出している筆者の姿が目に浮かぶのは、私だけだろうか。

 

記事にはこうある。

「テクノロジー、政治、経済、社会、ライフスタイルなど幅広い分野の情報を発信し、日本のインターネット論壇で注目を集める佐々木俊尚氏。「ノマドワーキング」「キュレーション」などの言葉を広めたことでも知られ、2006年には国内の著名なブロガーを選出する「アルファブロガー・アワード」も受賞している。その佐々木氏が、このたび、『現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全』を上梓した。「ネット記事」「SNS」「書籍」などから、「読むべき」記事をいかに収集し、情報を整理し、発信していくか、自身が日々実践している「新しい時代の読み方」の全ノウハウを初めて公開した1冊で、発売後たちまち4万部を超えるベストセラーになっている。その佐々木氏が、「『ネット情報に、つい騙される人』の残念な5大共通点」について解説する。」

 

そして、「残念な人の五大共通点」とは、以下の通り。

①「記事が正しいかどうかを『肩書』で決めつけてしまうこと」

②「1カ所だけの情報」で物事を判断してしまう

③「偏った情報」ばかり見てしまう

④「公開されていない秘密の情報」を信じてしまう

⑤「知り合いが勧めた情報」を鵜呑みにしてしまう

 

この記事に当てはめると、

①筆者が著書も出している有名な「佐々木某」だからというので、信じてはダメだ。

②また、この記事だけを見て、「騙されやすい人の共通点」が、本当にこれだけだと信じてはならない。

③この記事自体が「偏った情報」である。

④どこかで記事になっている以上「公開されていない情報」というのはあり得ない。

⑤勧められた情報を鵜呑みにしてしまうような「知り合い」からは、マインドコントロールを受けている可能性がある。

 

こう考えてみると、どうも、この記事で言おうとしている内容は、「騙されやすい人」への指摘や注意喚起ではなく、既存のメディアへの批判ではないか、という気がしてくる。

 

『読売新聞』4月6日の「編集手帳」に、何かが「ある」ことを言うのより「何かがない」ことを証明するのは不可能に近い、という話が載っていた。

この筆者は「西欧で長く語り継がれてきた真理のようなものに、ロシア政府はあらがう方針らしい」として、民間人が多数殺されているという証拠があるのに、言い逃れをするとはけしからん、と述べる。

それはいいが、最後に、

「「ナチの虐殺を止める」(プーチン大統領)ことを口実にしたり、ありもしない真実が幅をきかす戦争である」

と結んでいるのはいただけない。

 

「ないことを証明するのは不可能だ」と言いながら、どうしてプーチンの言っていることが「ありもしない」と言い切れるのか。

米欧側の提出した「証拠」は十分で、ロシア側の言い分には「ありもしない」と決めつける、その根拠が示されていない。

こういうのを、

「①「記事が正しいかどうかを『肩書』で決めつけてしまうこと」②「1カ所だけの情報」で物事を判断してしまう③「偏った情報」ばかり見てしまう⑤「知り合いが勧めた情報」を鵜呑みにしてしまう」

というのではないか。

該当しないのが「④「公開されていない秘密の情報」を信じてしまう」だけというのは酷い。

 

もちろん、プーチンに理があるというつもりはないが、このように普段目にするメディアの記事が、一方的な情報に偏っているのはどういうわけなのか。

ロシアが非民主主義的で、言論の自由がなく情報統制されている、と言われているが、「情報統制」されているのは、日本でも同じなんじゃないのか、と思う今日この頃です。

 

※晴れてよし曇りてもよし富士の山、もとの姿は変はらざりけり(by山岡鉄舟)。