ロストジェネレーション | 宇則齋志林

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トリの優雅な日常

おはようございます。

経済アナリストのトリです(穴だらけのリストを作成しています)。

 

昨今のコロナ下で、経済は落ち込み、未曾有の国難に見舞われている、というような話になっている。

解雇された人も多く、新卒の採用を見送る企業も多いらしい。

お気の毒だが、コロナでも何でもない時に、そういう状況だった人々がいる。

ロストジェネレーションと呼ばれる世代で、トリなどもその一員である。

 

それについて、こういう寓話がある。

 

昔々、どこかの国のお話しです。

あるところに、上昇志向の強い若者がいました。

若者は何が何でも出世したいと思っており、仕官の口を探していたところ、王様が軍隊の増強のために武術師範を探しているという噂を耳にしました。

そこで、若者は武術を習い始め、何年もかけて達人のレベルに上りつめました。

そして、いざ武術師範として自分を売り込みに行こうとした矢先、王様が亡くなったのです。

 

次に即位した王様は、学問を重んじる人でした。

軍事費を削減し、学問と技術力で国を富まそうという政策方針のため、武術師範として仕官する願いは絶たれてしまったのです。

しかし、めげない若者は、そこから学問をはじめ、何年にもわたる猛勉強の末、自己の学問的基盤を確立しました。

 

ところが、いざ学者として国に仕えようとした矢先、王様が亡くなったのです。

次の王様は、若い人で、自分の側近にも若者を優先して採用し始めました。

かつて若者だった男は、武術の修行と学問に明け暮れた数十年を過ごして、もう既に老齢に達していたのです。

こうして、上昇志向の強かった男は、一度も国に仕えることなく、隠居の身となったのでした。

 

チャンチャン。

 

というわけで、世の中の趨勢に翻弄される人というのは、どこにでもいるものだ。

しかし、件の若者の敗因は、時代に適合できなかったことではなく、「王様に仕える」以外の選択肢を持ち得なかったところである。

 

コロナ下においても、経済が重要だという視点だけしかもっていないと、ひどい目に遭うだろう。

あまりにも当たり前すぎて誰も言わないが、経済が回ることと、生きていることとは全く別のことである。

実際には、金がなくなっても死にはしないのである。

それが死ぬような気がするのは、そう思わされているだけだ。

というよりも、金がないくらいの理由で、人が死んでもいいのかという点が、問われなさ過ぎていやしないか。

 

「子どもたちに命の尊さを教えましょう」、などと言っている大人に限って、金のない奴は死んだ方が良いと思っているものだ。

先生方、胸に手を当てて考えてみてください。

※ロスジェネの逆襲。