力を抜くことと入れること | 宇則齋志林

宇則齋志林

トリの優雅な日常

 昨日の記事で、力を抜くことが難しいというようなことを書いた。やってみると分かるが、ある時は抜けていてもあるときはすぐに入ってしまうのである。いつも、完全に力を抜いてリラックスするのは非常に高度な技術が必要だ。


 長い間、どうやっても力が抜けないと、半ばあきらめていた。しかし、この程、視点を切り替えて、抜けないのなら、入れ方を考えてみればいいと思うようになった。


 とりあえず力は抜けない。ならば入れればいいのだ。しかし、入れると、途端にパフォーマンスが落ちる。

 なぜか。


 それは、正しい力の入れ方を理解していなかったからである。ことに氣が付いた。力が入るというとき、例えば手なら手、脚なら脚というように、部分だけが緊張してしまうから、そこに捉われて行為が遂行できないのである。


 相手を押す、という動作で言えば、腕だけに力が入るから、相手に頑張られてしまうのだ。完全に力が抜けて、一点のエネルギーがダイレクトに伝わる身体が出来ていればいいが、そうもいかない場合は、力を入れることを考えなくてはならない。


 そこで、まず下腹に力を入れてみる。具体的には、骨盤の上部、両側の腸骨頭と恥骨を結ぶ正三角形を考え、その底辺を短くするイメージで、骨盤を絞めるのである。分からなければ、手で絞めつけてもいい。そうすると、意識が下腹に集まり、ある程度の腹圧が生じる。その部分の緊張を意識しながら、相手を押せばいいのである。


 そうすると、ある程度の効果が出るはずである。下腹に思いきり力を入れてなおかつ腕にも力を入れることはほぼ不可能なので、結果的に腕の力は抜けるだろう。


 ただ、毎度下腹に力を入れていると、稽古の度に腹筋が痛くなるので注意が必要だ。また、腹具合が悪い時にも、この方法は避けた方がいいと思う。ともあれ、どうせ力が入るなら、こうやって腹を中心に、全身に力を入れる方法を練習するのも、悪くないのではないかと思われる。