白坂です、

 

嫌われても良い

たとえば、
ダイエーというスーパーを運営している
会社があります。

ダイエーは過去20世紀に
1度は、流通業でトップになった企業です。

しかし、
その後、経営はどんどん悪化していき、
産業再生機構の支援を受けました。
最終的にイオンに買収されて現在に至ります。

なぜ、1度はトップになったダイエーは、
支援を受けなければならないほど
経営を悪化させたのでしょうか?
最大の理由は


消費者から嫌われる覚悟がなかったから


ダイエーのビジネスモデルは、
基本、

・生産者から仕入れて
・消費者に売る

です。

だから、商売の基本は、
「売り手良し・買い手良し」。

しかし、
ダイエーが追求したのは、
「買い手良し」だけ、でした。

「主婦の味方:ダイエー」という
明確な方針のもと、とにかく、


毎日安い:
エブリデーロープライス


を追求しました。

スーパーで買い物をする主婦は、
もちろん、高いより安い方が良いに
決まっています。

しかし、
それでは「買い手良し」にしかなりません。
「売り手:生産者」にとっての良しにはならない。

なぜなら、
消費者が安くで買いたいのと同じように、


売り手:生産者は高くで売りたいのだから


ダイエーは、
消費者の方しか見ていませんでした。
だから、生産者を敵に回してしまった。

生産者がダイエー以外で売っている価格よりも、
ダイエーでは安くで売ってしまった。

もちろん、
消費者は他店で買うよりもダイエーで買う方が
安くで買える。消費者は、確かに喜ぶ。

しかし、
生産者からしたら、たまったものではない。
商品を創ってもダイエーで売られると利益が出ない。

商品というのは、
魔法のように、
ポッと出来るものではありません。

・企画

・開発

・設計

・原材料の仕入れ

・製造

という、
いくつもの段階を経て、
やっと1つの商品が出来上がります。

それだけ
多くの時間・お金・エネルギーをかけて
生産したものであれば、当然、高くで売りたい。
利益を出したい。

もし、
どれだけの企業努力をしたとしても
利益が出ないのであれば、もう誰も
生産活動をしたいとは思わなくなります。

主婦の味方:ダイエーは、
結局、生産者を敵に回しました。

やがて、
生産者はダイエーに商品を
卸さなくなりました。

だから、
ダイエーは確かに安いのだけど、
品質の良い商品が並ばなくなりました。
結果、


ダイエーには何でもあるけれど、
欲しいものは何もない


として、
総合スーパーとして1時代を築いた
ダイエーは、結局、自主独立の経営を
維持できなくなったわけです。

「売り手良し、買い手良し」というのは
日本語は簡単でも、実現は永遠の課題。

なぜなら、
・売り手は、出来るだけ高くで売りたい
・買い手は、出来るだけ安くで買いたい
と、180度、利害が対立しているから。

なので、
単に安売りしさえすれば良い、
というものでもない。

とにかく安売りすれば、目の前の
お客さんには喜んでもらえるかもしれない。

しかし、
安売りは当然に誰にも利益をもたらさないので、
結局、誰をも豊かにしない。

関係する全ての人たちの誰も
給料が上がらないので、
結局、安売りは更なる安売りに繋がり、
社会全体を貧しくしていってしまう。

もし
安売りをすれば好かれるかもしれない。

逆に、
値上げをすれば嫌われるかもしれない。

しかし、
大事なのは、安いか・高いかではなく、
本来は、


価値と価格が妥当かどうか?


生産者が1つの商品を生産するのにかけている、
お金・時間・エネルギーからして、そして
何より消費者が受け取ろうとしている価値からして
妥当な価格であるか・どうか?

価値に見合った正当な価格を付けることで
初めて、「売り手良し・買い手良し」が
綺麗事から現実へと変わって行く。
そのためには、


「嫌われても良い」という覚悟が要る


社会には2種類の人が居る。
すなわち、

・価値に対して正当な価格を支払うつもりがある人

・何でもかんでも安く、出来れば無料を望む人


前者の
価値に対して正当な価格を支払うつもりがある人と
付き合っていると、関係する人みんなが豊かに
なれる可能性がある。

一方、

後者の何でもかんでも安く、
出来れば無料を望む人と付き合っていると、
生産者は時間・お金・エネルギー、、、の
全てを奪われて行く。

経済という世界に生きていれば、
全ての人に等しく好かれるということは
絶対にあり得ない。

もし
全ての人に等しく好かれようとすれば
極論、全ての商品・サービスを無料に
しなければならない。すると、最後はダイエーのように


何でもあるけれど、欲しいものは何もない


という状況になってしまう。

なぜなら、より良い商品・サービスの提供前には、
必ず、生産者側に生産能力を上げるための
投資が必要であり、その投資は究極、利益からしか
もたらされないから。

・安売り

・利益が出ない

・投資が出来ない

・生産能力が上がらない

・品質が上がらない

・豊かにならない


一方、


・高くで売る

・利益が出る

・投資が出来る

・生産能力が上がる

・品質が上がる

・豊かになる


消費者は出来るだけ安くで買いたい。
生産者は出来るだけ高くで売りたい。
だから、「売り手良し・買い手良し」の
実現は簡単ではない。

利害が対立する両者とものが納得できる
価値に見合った価格で売るというのは
簡単ではない。

しかし、
その簡単ではないことの実現を
目指し続けるのが、商売でありビジネス。

難しいことを放棄し、
知恵も何も要らない
安売りだけを行い続ければ、

誰からも嫌われたくないという想いが
結局、誰をも幸せにしないという
究極の矛盾を引き起こす。

極論、
もし100人が居る中で、

・出来るだけ安く、
 可能ならば無料が良い人が99人

・価値に対しては、その価値相応の価格を支払う
 予定がある人が1人

だった時、
どちらに焦点を合わせるか。

嫌われることが悪で、
誰からも嫌われたくない商人であれば、
当然、安売りを選択する。

決して、社会に存在している商品の
最高品質のものではないかもしれないけれど、
安くで提供すれば、お客さんからの苦情は
最小化する。

安い価格で提供し続けている商人は
嫌われる覚悟がない。

短期的には消費者から「良い人」と
認識されるかもしれないが、
長期的には社会全体を貧しくすることに
関与している。

本物の商人であれば、
やはり、


価値を理解してくれる100人中1人に
社会に存在している中で最高の品質のものを
価値に見合う価格で提供する人


本物の商人になるには、
覚悟が必要になる。
すなわち、


嫌われる覚悟


たとえ、
100人中99人に嫌われたとしても、
たった1人に心から感謝されるものを
提供する。

商人は商人らしく、
しっかりと利益を出す。

生産能力の向上に再投資して、
将来の更に価値の高い
商品の創造に繋げて行く。

「売り手良し・買い手良し」を
実現しながら、同時に社会全体の
豊かさ向上にも貢献することが出来ている。

すなわち、
本当の意味で
「売り手良し・買い手良し・世間良し」の


【三方良し】を実現することに貢献できています。

 

嫌われても良い

今回は以上です。
本日も文章をお読みくださり感謝しています。
いつも本当にありがとうございます。

白坂慎太郎

 

追伸:

→ ブログ読者さんへの無料プレゼント