原田 慎也|人と関わるのが少し面白くなる

原田 慎也|人と関わるのが少し面白くなる

介護・福祉・医療の現場での体験を通して
人の奥行きや可能性を綴っています。

Vol.94

 

分かり合えないと思った時
足りなかったのは優しさではなく
まだ知らない事実だったのかもしれない

 

 

原田 慎也とは・・・

治療家であり経営者

そして
「人って面白いな」
を探し続けています

このブログでは

現場で出会った出来事を通して
人の奥行きや可能性を綴っています

 

 

鳥取へ帰る道は、一つではない 

 

僕は
鳥取県で生まれた


今は
広島県呉市に住んどるけど

時々
鳥取の生家へ帰る


とはいっても
頻繁に帰っとるわけではない


どの道を通ったのかも
分岐をどちらへ曲がったのかも

毎回だいたい忘れとる(笑)


そんな時は
カーナビ頼りだ


呉から鳥取へ向かう道は
一本ではない


高速道路を優先する道

米子方面を通る道

岡山方面を通る道

高速道路をなるべく使わず
一般道を走る道




一番早い道は
約3時間40分

料金を抑えられる道
もあれば

6時間以上かかる
一般道もある


距離が短くても
山道が多い道がある


少し遠回りでも
走りやすい道もある


カーナビは

「この道だけが正解です」

とは言わない


時間
料金
距離
走りやすさ


何を優先するかによって

いくつかの道を
並べて見せてくれる


急いどる時は
早く着く道を選ぶ


時間に余裕がある時は

少し遠回りでも
走りやすい道を選ぶこともある


目指しとる場所は
同じ

でも

そこへ向かう道は
一つではない

 

昨日のブログを書きながら 

 

昨日のブログでは


中小企業家同友会で行われた
ロマンとそろばんについての
グループ討論から
 

 

両立とは

いつも半分ずつにすることではなく

今の自分の傾きに気づき

必要な方へ
重心を動かしていくこと

そんな話を書いた

 

 


 

そのブログを書きながら

ふと
カーナビの画面を思い出した

 

 

グループ討論では

ロマンを中心に語る人もおれば

数字を大切にする人もおった

 

そして

それら両方を兼ね備えた人も

迷いを感じている人もおられた


見えてる現状

 

は違っても

 

どの人も

会社を良くしたい

という同じ場所

 

を目指しとった

 

その様子が

一つの目的地に向かって
いくつもの道が表示される

カーナビと重なった


同じ目的地を入れても

表示される道は
一つではない


これは

会社や支援の現場で起きる

意見の違い

にも少し似とるんじゃないかと思った

 

ルールか、状況か 

 

職員同士で
意見が分かれやすいことの一つに


ルールを守るのか

その時の状況に合わせるのか



というものがある


ルールは大切

そう考える人もおる


ルールは大切じゃけど

最後は
自分が感じたことも大切


そう考える人もおる


一人ひとり
置かれとる状況が違うのに

ルールを決めること自体に
無理がある


そう考える人もおる


ルールよりも

目の前の相手に合わせた支援を
優先した方がいい


そう考える人もおる


どの意見も

相手のことを考えた末に
出てきたものだと思う


だからこそ


簡単には
一つにまとまらない


そんな時


表には出さんくても
心の中で

「この人とは意見が合わんなあ」

と思うこともある


それも無理もないことだよね


話し合っとったはずなのに
いつの間にか


目の前の相手より
誰の考えが正しいのかを
決める話になっていく


ルールを大切にする人は
融通が利かない人に見え


状況に合わせたい人は
自分の感覚だけで動く人に見える

 

 

そんな捉え方もあるかなと...


でも

本当に違うのは
考え方だけなんじゃろうか

 

意見を動かしたのは、説得ではなかった 

 

これまでにも

ルールを守るのか

状況に合わせるのか


職員の意見が
分かれたことがある


話し合ううちに

どちらか一方へ
判断が傾きかけることもあった


そんな流れが変わったのは


誰かが
うまく説得した時ではない


支援する相手が



何に困っとるのか

なぜ
その希望を持ったのか

本当は
どうしてほしいのか


職員の解釈を
なるべく通さず


その人の事情や言葉が
詳しく共有された時だった


本人の本音を知ることで
それまで意見が違っていた職員も


「それならその希望は妥当じゃね」

と感じることもある


職員同士の価値観が
同じになったわけではない


ルールを大切にする人は

その後も
ルールを大切にしとる


相手に合わせたい人も

その思いを
変えたわけではない


それでも
話が前へ進んだのは


判断するための情報

がそろい

みんなが


同じ土台に立てた

 

からだと思う


意見が違っとったというより


それぞれに
見えとったものが違った


そこへ
本人の本音が加わったことで


職員同士に向いていた視線が


もう一度
支援する相手へ戻った

 

意見が割れた時ほど、相手を見る 

 

もしかすると


意見が割れた時に
足りていないのは


職員同士の
歩み寄りだけではない


判断するための情報が

まだ足りていないことも
あるんだと思う


忙しい現場では


一人の職員が
すべてを知ることは難しい


ある職員には

本人の表情が見えとる


ある職員には

これまでの経緯が見えとる


ある職員には

ほかの利用者さんとの公平さが見えとる


誰かの見方が

良い悪いということではなく


立っとる場所によって

入ってくる情報が
違うのだと思う


ルールを守るのか

状況に合わせるのか


その二つを
綱引きのように考えると


どちらかが勝ち
どちらかが折れることになる


でも


ルールと
相手に合わせた支援は

本当は


敵同士ではない


ルールは

みんなが迷わないための
出発点になる


本人の事情や本音は


そのルールを

どこまで当てはめ
どこから調整するのか


を考える材料になる


大切なのは


誰の意見が正しいのかを
早く決めることではなく


本人について

どこまで確かな情報を持って
話し合えているか


そこなんじゃないかと思う


これは
職員同士だけの話ではない


僕も同じだ


会社全体を
見とるつもりでも


自分に届いた情報だけで
判断しそうになることがある


だから
意見が違った時ほど

「この人は何を見てそう感じたんじゃろう」

と考えてみたい


そして

職員同士を
見つめすぎる前に


本人は
何に困っとるのか


本当は
何を望んどるのか


もう一度
そこへ戻ってみる


カーナビに
いくつもの道が表示されても


色の違う道同士が

どちらが正しいか

 

を争うわけではない


目的地と
今いる場所を確かめながら

その時に合う道

 

を選んでいく


しかも

予定していた道を外れても


カーナビは
怒らない


「だから言ったでしょう」

とも言わない


静かに
ルートを再検索してくれる


支援も

少し似とるのかもしれない


一度決めたルールに
意地を張るのでもなく


その時の気持ちだけで
走り続けるのでもなく


本人の今いる場所と
目指す場所を

確かめ直してみる


意見を一つにすることより


みんなが
同じ相手を見ながら


今、どの道を進むのか

を考える


その時

ルールか

状況か


二つに分かれて見えた道の間に


今まで見えていなかった別の道

 

 

が現れることもあるのだと思う