Vol.47
見つからん時ほど
本当にあるんか不安になることってあるよね
原田 慎也とは・・・
迷いを消すのではなく
迷いの中でもブレない在り方を
体現する支援者を増やす
これをビジョンに
現場で今も
「人とどうすれば深く繋がれるか」
を探り続ける実践者
それではどうぞ~
本当にこの先に家があるんかね
先日
新しく担当させてもらう患者さんのお宅へ
向かっとったんよ
初めて行くお宅で
場所は山の麓
家々が点在しとる地域じゃった
そこへ向かう道は
急な坂道が多くて
一方通行もあちこちにある
車同士が離合するのも
なかなか大変な場所なんよ
Googleマップを見ながら進むんじゃけど
曲がるたびに
「本当にこっちで合っとるんかね」
と思いながら
さらに進む
また曲がる
さらに坂を登る
見慣れん景色ばかりじゃ
正直
途中から思ったんよ
本当にこの先に家があるんかねって
住所も分かっとる
Googleマップもある
でも
曲がっても曲がっても
それらしい家が見えてこん
あとどれくらいなんじゃろう
本当にこんな所に家があるんじゃろうか
そんなことばかり考えとった
すると
坂を登りきった先に
ようやく目指しとった家が
見えてきたんよね
あの時は
少しホッとしたのを覚えとる
見える景色が変わる時
あれから週1回
そのお宅に訪問しとるんじゃけど
今はほとんど迷わん
Googleマップを見ることも
少なくなった
最初の頃は
あのカーブを曲がったらあと少し
あの建物が見えたら次は右
そんな風に
目印を探しながら運転しとった
でも今は
その目印すら意識しとらん
気がついたら着いとる
そんな感覚なんよ
同じ道を走っとるはずなんじゃけど
最初の頃とは
見えとる景色が全然違う
そして
患者さんとの関わりも
少し似とる気がしたんよね
初めて訪問した頃の僕は
どうしても症状を中心に見とった
身体はどうか
生活はどうか
痛みはどうか
もちろん
それも大切なことじゃ
でも
訪問を重ねるうちに
少し違うものが見え始めた
患者さんが話す昔話
何気ない一言
家族の話
テレビを見ながらのつぶやき
昔の僕なら
聞き流しとったかもしれん
でも今は
その話の奥に
その人が大切にしとるものや
その人が本当に伝えたいことが
少しだけ見える気がするんよね
同じ人を見とるはずなんじゃけど
最初の頃とは
見えとる景色が少し違う
あの山道と同じで
最初は辿り着くことに必死じゃったものが
いつの間にか
別のものまで見えるようになっとったんよね
希望は、どこから生まれるんじゃろう
患者さんは
時々こう言う
「もう無理じゃ」
「もう歳じゃけぇ」
「どうせできん」
昔の僕なら
その言葉をそのまま聞いとった
でも今は少し違う
「本当にそうなんじゃろうか」
と思うようになった
「もう無理じゃ」
の奥には
悔しさがあるかもしれん
「どうせできん」
の奥には
本当はやってみたい気持ちがあるかもしれん
「歩きたい」
の奥には
会いたい人がおるんかもしれん
行きたい場所があるんかもしれん
支援をしとると
つい目の前の言葉や行動を見てしまう
でも
本当に大切なんは
その奥にある願いや想いなんじゃないかと思うんよね
人は
未来が見えん時に
苦しくなる
そして
未来が閉じたように感じた時に
希望を失う
支援者の仕事は
正しい答えを渡すことじゃないと思うんよね
その人の中に
まだ残っとる願いや想いを
一緒に探していくこと
そして
本人も気づいていない
未来の入り口を
一緒に見つけていくこと
なんじゃないかと思う
あの山道もそうじゃった
家は最初からそこにあった
ただ
僕には見えとらんかっただけなんよね
人の希望も
少し似とるんかもしれん
希望って
与えるものなんじゃろうか...
僕は違う気がする
元々そこにあるものを
一緒に見つけていくこと
なんじゃないかと思うんよ
支援者の仕事は
希望を作ることじゃない
その人の中に
まだ残っとる未来の入り口を
一緒に探していくことなんかもしれんね
