219()20()の2日間、参議院の議院運営委員会・委員派遣で、宮城県を訪問しました。

調査目的は、国立国会図書館東日本大震災アーカイブ「ひなぎく」関連施設の活動状況及び宮城県における東日本大震災からの復旧・復興状況等に関する実情調査です。

現地では、震災遺構仙台市立荒浜小学校、中野五丁目津波避難タワー、宮城県図書館、南三陸町役場庁舎、南三陸さんさん商店街、石巻南浜地区・門脇地区、いしのまき元気いちば、新蛇田地区を訪問、各地域で施設や自治体関係者からの説明を受けました。

 

○震災遺構仙台市立荒浜小学校

東日本大震災発生後の津波により校舎の二階部分まで浸水し、体育館は大破したが、教職員や児童のほか、近隣住民を含む320人は校舎4階や屋上に避難し、約27時間後に全員が救助された。津波による犠牲を再び出さないため、震災遺構として保存することとし、校舎保存工事を実施後、平成294月から一般公開されています。

 

○中野五丁目津波避難タワー

中野五丁目津波避難タワーは、仙台市が津波避難施設として整備することとしている13か所のうち、平成272月に完成した最初の施設である。鉄骨造り2階建てで収容人数は300名、液状化現象や津波の波力等を勘案して26m以上の基礎杭を打設している。

3階相当の高さに屋内避難スペースを設け、避難時のストレスに配慮して内部空間を仕切ることができるようにしたほか、食糧・毛布等の備蓄品も整備している。高齢者等の避難に配慮してスロープ等を整備しておられます。

 

○宮城県図書館

宮城県図書館は、平成2311月から東日本大震災関係の資料等の収集を開始し、収集した資料をデジタル化し利用に供するため、「東日本大震災アーカイブ宮城」を宮城県内の市町村と連携・協力して構築している。震災アーカイブ宮城は、東日本大震災の記録・教訓を次世代に伝えるために国立国会図書館が運営しているポータルサイト、東日本大震災アーカイブ「ひなぎく」とシステム的に連携しています。

現地では館内の視察を行い、宮城県図書館長及び震災アーカイブ宮城担当者から、震災等の大規模災害の記録保存の必要性と利活用促進のための取組、利活用拡大に向け、許諾関係等の課題に対する方針及び具体的な対策等について伺いました。

 

○南三陸町役場庁舎

南三陸町は、東日本大震災による被災後、住宅や公共施設を高台など安全な場所に配置することを基本原則として復興まちづくりを進めています。「南三陸町震災復興計画」に基づき、バイオマス資源を活用したエコタウン構想を推進し、各種環境認証を取得した南三陸ブランドの創造・普及など林業や漁業の復興も進めています。

東日本大震災により、鉄骨3階建ての旧防災庁舎では、43名が犠牲となった。被災後の同庁舎の取扱いについては、当面、宮城県が所有し震災遺構として整備し、震災後20年の経過する20313月までにその後の取扱を検討することとされています。

新たな町役場庁舎は高台の造成地に建設することとされ、国際的な森林管理認証を取得した地元の南三陸杉を活用して、平成298月に竣工。

現地では、南三陸市長から林業・漁業等の復興状況、旧防災庁舎の保存問題等について説明を受け、質疑を行いました。

 

○南三陸さんさん商店街

南三陸さんさん商店街は、平成242月に仮設商店街として店舗数32店で発足。平成28年度末閉鎖までに150万人以上が訪れ、平成25年には経済産業省から「がんばる商店街30選」に選定されました。

現在のさんさん商店街は、仮設商店街よりも1kmほど沿岸の町有造成地に常設の商店街として、平成293月に開業。これからの継続的な営業の課題について南三陸市長他、現地の皆さんからお話を伺い、志津川対岸の旧防災庁舎を含む、整備中の復興祈念公園予定地を視察しました。

 

○石巻南浜地区・門脇地区

石巻市は、東日本大震災において宮城県の市町村で最大の人的被害を受けた地域です。特に沿岸部である南浜地区・門脇地区は、津波と火災により約500名が犠牲となられ、国と宮城県、石巻市は協同で南浜地区に全体で約39ヘクタールの復興祈念公園を整備し、園内には国営の追悼・祈念施設を設けることとし、平成32年度の完成に向けて準備を進めています。献花・黙礼を行い、石巻市長やボランティアの方々から概況説明をお聞きし、「南浜つなぐ館」内部や復興祈念公園予定地区を視察しました。

 

○いしのまき元気いちば

いしのまき元気いちばは、東日本大震災後の「川と一体的なまちづくり」をコンセプトとした、旧北上川沿いに交流拠点を整備する「かわまち交流拠点整備事業」の核となる生鮮マーケットとして、平成296月にオープンしたものです。

現地では、石巻市長等から概況説明を聴取し、いしのまき元気いちば内部や旧北上川整備工事の現況等を視察した。

 

○新蛇田地区

石巻市新蛇田地区は、宮城県内で最も早く被災市街地復興土地区画整備事業の認定を受け、災害公営住宅、民間住宅用宅地が提供され、平成2812月に供給が完了。近隣には大規模商業施設が点在し、新たに鉄道の駅も開業し、活気あるニュータウンとなっています。

現地では、石巻市長から概況説明を伺い、バス車中から同地区の視察を行いました。

 

二日間の視察を終え、改めてあのような凄惨な犠牲を再び出さないため、防災・減災対策を強化し、また一日も早い被災地の安全安心な住環境の整備、農林漁業等を含め現地の産業の復興に向け、全力で取り組んでまいります。