2月15日、16日に沖縄北方問題特別委員会の視察で、沖縄県に赴き、振興開発問題等に関する実情を調査してまいりました。派遣委員は、江崎委員長、石田理事、藤本理事、秋野理事、紙委員、儀間委員、そして私の7名です。
沖縄県には本島のほかに三十九もの有人離島があります。そのなかでも中国や台湾と近接する国境離島であり、日本の領土保全に重要な役割を果たしている石垣島を訪問してきました。
 石垣市新港地区に係留中の巡視船「たけとみ」の船内において、石垣海上保安部から、同部の体制や尖閣諸島周辺海域における警備活動状況などについて説明を聴取し、意見交換を行うとともに、巡視船内を視察いたしました。
 私が、海上保安庁と海上自衛隊とはどのように連携をされているのかと質問すると、「航空機から得られた情報を提供する等により連携を取っています。現場においても連絡を取り合うことはあります」とのご説明がありました。



続いて、石垣市水産加工施設を訪問し、石垣市及び八重山漁業協同組合から施設概況のほか、八重山圏域の水産業をめぐる課題などについて説明を受け、施設内を視察いたしました。この施設では、モズク、ソデイカ、マグロ等の加工を一体的に行うため、徹底した衛生管理の下、モズク洗浄こん包ライン、モズク塩蔵タンク、ソデイカ加工ライン、マグロ高次加工ライン等の設備が整備されているほか、新商品の試作品の作成・検討も行われているそうです。
 八重山漁業協同組合からは、今後の課題として、「現在は、施設で製造された商品の販売経路が限られている。本年二月十八日から大阪で開かれる『第十三回シーフードショー大阪』に石垣市の中山市長が赴き、直接商品をアピールする予定であるが、引き続き、販路の拡大に努めたい」との説明を受けました。



その後、石垣島製糖株式会社を訪問し、石垣島における基幹作物であるサトウキビから作られる原料糖の製造工程を視察するとともに、同島における原料糖製造工程を一手に担っている同社が抱える課題などについて説明を聴取いたしました。
石垣島製糖株式会社は、昭和三十九年/四十年期には管内サトウキビ生産実績二十一万四百六十トン、産糖量二万四千三十八トンと過去最高の生産量を記録したが、その後は増減を繰り返しながらも減少傾向が続いており、直近の平成二十六/二十七年期では、管内サトウキビ生産実績八万百六十三トン、産糖量九千三百九十トンとなっているそうです。
また、工場建設から既に五十年以上を経過し設備が老朽化しており、何とか修理して操業を続けられておられました。ここは、島内で唯一の製糖工場であり、工場が操業を停止すれば、石垣島のサトウキビ生産農家に甚大な影響が及ぶので、サトウキビ生産を行っている島民のためにも何とか稼働を続ける必要があるとおっしゃっていました。



続いて、八重山肥育センターに移動し、JAおきなわから、施設の運営状況などについて説明を聴取いたしました。石垣牛はブランド牛として高値で取引されている一方、増大する需要に生産が追い付かず、素牛の仕入価格も上昇傾向にあるとのことでした。



最後に、平成二十五年三月に供用が開始された新石垣空港において、石垣市から利用状況などについて説明を聴取するとともに、空港施設を視察いたしました。供用開始後は旅客数もかなり伸びており、特に羽田路線の旅客数の増加が顕著であるとのことでした。国際線に関しては、現在は台北路線のみが就航されていますが、海外からの観光客の受入れ拡大にも対応するため国際線ターミナルビルの増改築が予定されており、沖縄県の平成二十八年度一般会計予算案には、沖縄振興一括交付金も活用した事業費約十三億八千万円が計上されています。

今回の視察を通して、石垣島を始め八重山圏域については、地理的に不利な条件を抱えつつも、 好調な観光リゾート産業に支えられていることがわかりました。全体としては着実に振興が図られておりますが、地元からの要望をしっかりと踏まえながら、離島に人が住み続けられる条件を整えることが重要であると改めて認識をいたしました。
離島振興を含む沖縄振興の更なる進展に資するためにも、今回の委員派遣の成果を踏まえて、当委員会において十分な議論を行い、国の諸施策に適切に反映されるよう尽くして参る所存ですので、今後ともご指導の程宜しくお願い申し上げます。