本日、静岡県は駒門まで、自衛隊駐屯地の視察に参りました。

 駒門駐屯地は御殿場市の南側に位置し、約7万坪の敷地に国際活動教育隊、第1機甲教育隊、第1戦車大隊、第1高射特科大隊、第364施設中隊等が配属され、眼前に映る富士山の迫力に圧倒される大自然に囲まれた駐屯地です。

 駒門駐屯地に特徴的なのは、全国の陸上自衛隊の国際平和協力活動等に関する教育・訓練・研究を行う「国際活動教育隊」があることです。

 陸上自衛隊の隊員に対して海外での活動に必要な知識や技能を教育することを任務とし、国際任務要員に対してPKO任務・ROE(部隊行動基準)や語学・法規を教育し、国際緊急援助隊待機部隊や国際活動指定部隊の巡回訓練支援・評価支援を行っています。その隊長をこの駒門駐屯地の司令が兼務しておられ、今日はその国際活動教育隊長兼駒門駐屯地司令の古庄信二一等陸佐が、視察を応対して下さいました。


駐屯地の概要をご説明下さる
国際活動教育隊長、兼駒門駐屯地司令・古庄信二一等陸佐



 戦車の体験搭乗もさせていただきました。搭乗したのは最新の戦車、10式戦車です。10式戦車は、陸上自衛隊の最新国産主力戦車であり、自衛隊では第3世代主力戦車であった先代の90式戦車を上回る、第4世代主力戦車とされています。

 主砲には日本製鋼所の国産44口径120mm滑腔砲(※1)を備え、新型の国産徹甲弾の使用により貫徹力を向上させています。また、自動装填装置を採用し、乗員は車長・砲手・操縦士の3名より構成。私は今回車長席に座らせていただきました。

 防護力に関しては、新たに開発された「モジュール式装甲」によって、防御力を下げることなく軽量化が図られ、手りゅう弾や対人地雷等ではビクともしないとのことです。全備重量も44トンと、前のモデルの90式に比べ5トン近く軽量化されたとのことです。

 機動力についても最大時速70キロほどで走行でき、更には諸外国の主力戦車に装備されつつある「C4Iシステム(※2)」を陸上自衛隊の戦闘車両で初めて搭載し、これにより単車内あるいは近くの10式戦車同士が相互に情報を伝達し、敵や味方に関する情報の共有や指揮統制を可能にしているとのことです。


手前が末松。奥は秘書の岡田君です。
足元に無数のコンピュータ装置があり、車長の責務の重要さを実感しました。



 最後に資料館をご案内いただきました。入り口の外には、東京都練馬区で発見された米軍の1トン爆弾が展示され、入り口のすぐ中には、「駒門」の地名の由来にもなった頼朝の巻狩(いわゆる軍事演習)についての説明と絵が飾られていました。この駒門一帯に宿営地を置き、頼朝が駒を止め指揮したとのことです。

 その他、乃木希典将軍の殉死を伝えた手記、フィリピンで裁判にかけられた山下奉文氏の辞世の句、沖縄戦線で戦死した当時27歳の中佐の遺品、戦死する直前まで記載されていた兵士の日記、八九式中戦車の戦車長として中国との戦いで戦死した西住小次郎氏をマスコミが軍神として取り上げている新聞記事、当時の軍服や様々な歩兵銃、騎銃、機関銃が展示されていました。


実物大の対戦車地雷。対戦車地雷は人が乗っても反応しないとのことです。


 また気に留まったのは、その美しさゆえに政治的配慮から、アメリカ人外交官ハリスに嫁がされた伊豆国下田の芸者、唐人お吉の史料まであったことです。

 大変お忙しい中、司令以下幹部の皆様にお時間を割いていただき、わが国の安全保障の最前線を視察、勉強させて頂けたこと、関係者の皆様に改めて御礼申し上げます。隊員の方から、駐屯地は全国的に山間部や非居住地域に多く、隊員の宿舎等生活環境の整備について、より一層検討してほしいとのご要望も頂戴しました。



古庄司令他、駐屯地の皆様に改めて御礼申し上げます


 今日の体験を糧とし、今後もわが国防衛政策について一国会議員として、懸命に取り組んで参りたいと思います。


※1 カノン砲・榴弾砲の場合、「口径」は砲身の長さを示す単位として用いられる。
「1口径」はその砲の口径に等しく、例えば「44口径」であれば口径の44倍の長さがある事になる。従って、「44口径120mm滑腔砲」なら口径が120mm、砲身長が120mm x 44 = 5280mmとなる。

※2 C4Iシステム(Command Control Communication Computer Intelligence system)は、軍隊における情報処理システム。指揮官の意思決定を(Command)支援して、作戦を計画・指揮・統制(Control)するためコンピュータ(Computer)によって計算された情報(Intelligence)を提供・伝達(Communication)する。