第97回キネマ旬報ベストテン
その授賞式がありました
1924年創設
ということは関東大震災の翌年
今年100周年を迎える日本で1番古い映画賞です
私も映画マニアとして以前からの定期購読者でして^_^
この受賞式の司会も
今年で18回目になります
昨日は、渋谷のオーチャードホールにほんとにたくさんのお客さんが来てくださいまして
かつ生配信で全国の皆さんにもご覧いただきました(YouTubeで見逃し配信見られます)
今年もとにかく楽しく豊かな映画愛に満ちた授賞式でした
歌手のアイナ・ジ・エンドさんの
新人女優賞スピーチが印象的でした
さすが作詞作曲をするアーティストだなと非常に感心したのですが
とても感性が豊かで
紡ぎ出される一つ一つの言葉がほんとに素晴らしかった
一緒に写ってるのは助演女優賞の二階堂ふみさん
相模原の障害者施設で19人の障害者の方が殺害されたあの事件をモチーフにした作品「月」での障害者施設の職員役、見事な演技でした
その「月」で、19人の殺害犯役を演じたのが助演男優賞受賞の磯村勇人さんです
これも非常に難しい役ですが覚悟を持って演じたそうです
単なる異常な男ではなく
普通の男が次第に独善的になっていく姿を、見ているものにある種、納得させるような形で静かなる凄みを持っていました
そして、何といっても今年のハイライトは新人男優賞
97回の歴史上最年少受賞
小学校2年生の塚尾桜雅(おうが)くんです
それまでの受賞スピーチの誰よりも
“正しい”スピーチで拍手喝采
しかも、かわいい!
しかも、こまっしゃくれた“オトナコドモ”じゃないんです
本当に、普通の小学2年生
でも、普通じゃなかった(笑)
天才子役の出現です
「ほかげ」での戦争孤児のお芝居
ぜひ見ていただきたいです
その「ほかげ」で、主演女優賞を受賞したのが趣里さん
体調不良での欠席は残念でした
主演男優賞の「パーフェクトデイズ」役所広司さんもハリウッドやイギリスでの上映会のために欠席
現地からのビデオメッセージ、ヴィム・ベンダーズ監督の乱入があって
お客さんたち大喜びでした
読者選出日本映画監督賞 「Gメン」の瑠東東一郎監督には舞台上で謝罪しました
作品を見るまで、単なるアイドル映画だと思い込んでたんです
そうしたらめちゃくちゃパワフルで面白かった!
監督、笑ってました
そして、そして、2023年キネマ旬報ベストテン第1位は
阪本順治監督の「せかいのおきく」
江戸時代の糞尿くみとり業者の若者たちの恋と生活を描いたかつてない時代劇でした
美術監督として有名な原田満生さんが上映も決まっていないのに、自腹を切って創り始めたモノクロ作品です
「映画の神はいるんだなと思った」と感慨深くお話ししてくださいました
今年の受賞作品の特徴は
🔴「せかいのおきく」
日本映画作品賞
日本映画脚本賞
🔴「パーフェクトデイズ」
主演男優賞
日本映画監督賞
この2作品は、時代こそ違えど
どちらもトイレを舞台にした「トイレ清掃人」の物語なのです
時代から取り残された人々を描くという意味では
実は、今回の受賞作品は
「月」「キリエのうた」「ほかげ」「TAR/ター」「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」「キャメラを持った男たち〜関東大震災を撮る」も
そして
「Gメン」も!皆、取り残された人々の物語なのです
映画が時代を映すとは、こういうことなのでしょうか?
SDGsの精神が浸透しつつも
二つの戦争は全く終わる気配がありません
取り残された人々に手を差し伸べる優しさを映画製作者たちが訴えているように思えてなりませんでした
今回の授賞式は、ノーカットでYouTubeでご覧になれます
生の授賞式の雰囲気といったものをぜひお楽しみ下さい
そして、受賞作品は既にネット配信されているものもありますので、時間がありましたらぜひ見てみてくださいね
受賞者の皆さん、本当におめでとうございました