今回のブログは、昨日からの続きです

昨日のブログを読んでいない方は、ぜひ昨日のブログも読んでくださいね

 

ブロガーの友達からは「笠井さんのブログは長いので1本を3回分ぐらいに分けるといいのに」

などとアドバイスを受けましたが

どうしても「1回読み切り」と言うスタイルにこだわって続けてきました

 

アメブロは上限が4000字までと決まっているので、字数オーバーで文章を削るのに苦労したこともありました

 

ブログを始めて2ヶ月ちょっとになりますが、今回初めて前後編に渡るのはやはり震災がテーマだからです

 

本題に入りましょう

 

東日本大震災から9年

被災地はまだまだたくさんの課題を抱えていますが

私の感じる課題は

東日本大震災の「津波の恐怖」をどう次の世代に伝えるかと言う

点です

 

去年秋、フリーになってから仙台の小学校で

震災の特別授業を行うことになっていました。

 

震災6か月目にも、小学校で被災した児童たちを励まそうと

絵本の読み聞かせの会を行いました。

 

 

2011年9月 仙台市にて…

 


9年前の授業は、いってみれば癒しの授業です。

しかし、昨年秋の特別授業は全く意味合いが違いました。

 

あの震災が起きたとき、小学校6年生は3歳です。

ということは、今、被災地の小学校にいる児童は、だれも津波の恐怖を知らないのです。

 

現地の小学校では津波教育をしたくても、「親御さんや祖父母を津波で亡くしている児童がいるので難しい」と、小学校の先生から聞いたことがあります。

 

しかし

そろそろ変えていかなければならないのではと思っていたのです。

子供たちに、津波の「怖さ」を伝えなければと…。

 

ただ残念ながら、その授業は、急きょ実施された私のがんの検査のために、中止となってしまいました。

 

 

きのうは病室で、3月11日の朝の情報番組を見比べました。

 

「とくダネ!」は震災特集を20分以上やっていました。

(@すみません 『スッキリ』でも、かなり長く取り上げたそうです)


しかし、その他の民放局は、1つの番組が5分ほど、

1つの番組はミニ・ニュースでしか扱いませんでした。


 

あの東日本大震災当日に、いくらコロナウイルスが大変だとしても、朝8時台の情報番組の中のいくつかは「伝える」ことを忘れてしまっているかのようでした。

 

3月11日くらいは、視聴率抜きに、震災についてもっと本腰を入れても良いのではないかなと感じました

ですから「とくダネ!」のメンバーであったことに誇りを感じましたよ。

 

おっと、これで満足してはいけません。

 

昨日、震災を伝える番組をいろいろ見て

「津波の映像が少ない」という印象を受けました。

 

当然だと思います。

特に東北の被災地の方に配慮して、地上波の番組では、津波の映像は必要以上に流さない番組が多いのです。

 

・3月11日であっても、震災を取り上げなくなってきたテレビ。

・津波の映像は東北のみなさんに配慮。

・学校でも児童に配慮した震災授業。

 

しかし、もう9年がたっているのです。

この状態で、次の世代の子供達に津波の“怖さ”をどう伝えようというのでしょうか?

 

これまで、私たちの合言葉は、あの震災を「忘れない」でした。

しかし、もはや「忘れない」だけでは不十分です。

 

震災10年をむかえるにあたっては、震災を知らない世代に、どう震災を、津波の「恐怖を伝える」か?

これが大きな課題になると思うのです。

 

こうした課題のひとつの答えとして、去年、気仙沼に津波の被害を受けた向洋高校を利用した「震災遺構・伝承館」がオープンしました。

 

昨年の3月11日、「とくダネ!」の生中継でいち早く紹介しましたが、

テレビで紹介できないような津波映像と共に、その“恐怖”を体験する見事な施設でした。

 

校舎3階に突っ込んだ乗用車がそのまま保存されている。

【気仙沼市 東日本大震災遺構・伝承館】HPより

http://www.kesennuma-memorial.jp/

 

今年になって、陸前高田でも同様の「津波伝承館」が開館しました。

3月11日当日放送の「めざましテレビ」で女優の上野樹里さんが、

「とくダネ!」では古市憲寿さんが、この伝承館で津波映像を体験し、二人とも「ここまで見せるんだ」という衝撃を受けて涙ぐんでいました。

 

【いわてTSUNAMIメモリアル】HPより

https://iwate-tsunami-memorial.jp/

 

そうなんです。

東日本大震災は、発災9年を迎え

「震災ショックから被災者を守る」から

「そのショックをどうそのまま伝えるか」にフェーズは移っているのです。

 

東松島市

 

9年前に、あの現場でいやというほど津波被害の悲惨さを体感した者として言えること。                        

それは、津波から自分の命を守るために必要なことは、

津波の“怖さ”を実際に見て感じること、だと思っています。 

 

私が学校での震災教育、とりわけ“津波”教育の必要性を強く感じたのは、昨年秋に、北千住の中学校で全校生徒向けに震災授業を行った時でした。

 

この日は、学校の許可を得て、TVでは放送できない、津波の怖さが十分伝わる映像を体育館で上映しました。 

そして、「中学生は避難所で何ができるか?」をテーマに授業を行いました。

 

素敵な学校で、後日、全校生徒から感想文が届きました。

「津波を初めて見ました」

「津波があんなに怖いものだと知りませんでした」

など中学生からの感想が沢山書かれていました

 

そうなんです。トラウマにならないようにと、私たち大人は、この9年間、いってみれば「津波隠し」をしてきたのです。

 

その代わり、絵本で、写真で、物語で、津波の話を伝えてきました。

 

来年は震災10年です。

私は来年を津波映像の解禁の年として、義務教育における「津波の恐怖を伝える」教育元年にしたらどうかと、思っています。 

 

いくら言葉を尽くしても、あの日の怖さを子供たちに伝えるのは難しいのです。

 

まずは、東北の全小学生の「津波・伝承館」見学を実施したらいかがでしょうか?

 

余りの怖さに泣いてしまう子供が出るかもしれません。

しかし、その体感こそが、次の震災で命を守るのです。

 

東北には、「津波てんでんこ」という有名な言葉があります。

「てんでんばらばらに一刻も早く高台に逃げて、自分の命を守れ」という意味です。

 

しかし、大津波警報の中、自宅に貴金属を取りに戻り…、

子供を避難所に届けた後に再び自宅に戻り…

命を落とした方たちの話をたくさん聞きました。

 

伝える必要があると思います。

津波の「事実」というよりも、津波の「怖さ」を。

 

私はこれまでの講演会で、どんなテーマであっても、最後の20分は津波の話をしてきました。

 

それはあの悲惨な光景の中に身を置いた、自分の使命だと思っているからです。

 

既にはじめている方もいます。

そろそろ伝えませんか、津波の「本当の怖さ」を。

 

 

 

(追伸) 今日未明 石川県で震度5強の地震が発生しました。

被害が少ないことを祈ります

 

南海トラフだけではありません。

もはや、どこで大地震が起きるかわからないのです。

 

 

 

 

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「僕はしゃべるためにここ(被災地)へ来た」

 

震災2日目から1カ月間にわたった筆舌に尽くしがたい取材の裏側を、テレビでは放送できなかった事実をたくさん盛り込んで書かせていただきました

 

あの時何があったのか

我々報道陣は何に直面したのか。

 

そして発災から5年間にわたって被災地を取材してきた

その過程、被災地の皆さんとの交流も書かせていただきました

 

新潮文庫から消費税込み605円で販売していましたが

売り切れとなってしまい

アマゾンで一時1冊、5000円もの値段がついて困っていました。

 

この本は、私に入ってくる印税を全て被災地に寄付するシステムをとっています。

 

本屋さんが高く売ったところで

私にも、被災地にも1円も入りません

値段が落ち付くのを祈っています。

 

もし、よければ、電子書籍版(825円)をご利用ください。

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