今朝、看護師さんが突然
「笠井さん、今日“輸血”です」
「輸血~っ‼」
テレビの医療ドラマを見ていると、だいたい手術か救急医療の現場で使うものですよね
がんで寝ているだけの私が
なぜ急に輸血をしなければいけないのか?
担当の先生に聞くと、抗がん剤の影響で、ヘモグロビンの値が低くなりすぎていて、その結果、脳に酸素が行きづらくなり頭痛が起きている、というお話でした
「ここ数日の頭痛はそれだったのか!」
ところが、予定の時刻になっても血液が届きません
「笠井さんはRHマイナスなので、少し時間がかかってるんですね」
やっぱりね
ご存知のように血液型でRHマイナス型の人は、RHプラス型の人に比べて圧倒的に数が少ないいのです
「私、RHマイナスなんです」
他人にその事実を告白すると
50代以上の方はだいたい
「えっ!マイナスなんですか」
そして…
「大丈夫ですか」
と心配してくれます
これは、今から45年前の大映テレビの大ヒットドラマ
「赤い疑惑」がもたらした現象です
宇津井健
山口百恵&三浦友和 ( ←現夫婦)
当時の超人気アイドル、
山口百恵さんが主人公
白血病になってしまい命は助かるのか?
親は誰なの?
という赤い血をめぐる悲劇です
最高視聴率30.9%
「百恵ちゃんを死なせないで」とテレビ局に訴えが集まり
「最終回まで3回も延長した」という伝説まで語りつがれる社会現象になったドラマです
ポイントは百恵ちゃんが「AB型のRHマイナス」だという点。
最も数が少ないタイブなんです
物語の中では、街中でも輸血が必要な場面が出てくるのですが
「誰かこの中にAB型RHマイナスの人はいませんか!」
「RHマイナスの人はいませんか!」
「今輸血しないとこの子は死んでしまうんです」
と迫真の演技を見せる父親役の宇津井健さん
「1人で出歩くんじゃないぞ。お前はRHマイナス型なんだからな」と百恵ちゃんを心配する宇津井健さん
そこがドラマを盛り上げるポイントで
未だにそんなようなシーンを記憶しています
当時、小学校6年生だった私は
「RHマイナスは病気なんだ」と信じ込んでいました
もしかしたら
そんなシーンは、なかったのかもしれません
しかし
「RHマイナスはヤバイ血液型」
という設定のもと、どんどん物語が盛り上がっていたので、当時ドラマにのめり込んでいた今の50代以上は「RHマイナス」に「えっ!」と反応しまうのです
予定より1時間ほど遅れて血液が届きました
今の時代はRHマイナスだからと言って、AだろうがABだろうが焦ることはないと思います
ただその血液型の人数が少ないのは間違いありません
私も大学生の頃は協力しようと思ってよく献血に行きました
ある時「あなたはもう来ないで下さい」と言われてしまいました
いざ必要となって声がかけられた時に、血を提供できなくなってしまう、というのがその理由でした
そもそも私は「血液型はRHプラス」だと信じ込んでいました
ところが成人して「はたちの献血」を行った時、
「あなたはRHマイナスです」という郵便が保健所からとどいたのです
我が家に衝撃が走りました
「俺は山口百恵なのか❗」
しかし、親が受けたショックはそこではありませんでした
父も母もまごうことなき
「RHプラス人間」だったのです
家の中には不穏な空気が…
俺はいったい誰の子なんだ
「新・赤いシリーズ」ですョ
すると翌日、保健所から
「RHマイナスの方へ」という新たな手紙が届きました
そこにはこう書かれていました
「RHプラスの両親からも劣勢遺伝としてRHマイナスの子供が生まれます」
早く言ってよー!
一緒に伝えてよ-!
危うく家庭が崩壊するとこでした(笑)
今は「劣勢遺伝」と言わず
「潜性(せんせい)遺伝と」言うんだそうですね
今これを書いている最中も輸血が続いています
他人の血を自分の体の中に入れるのは生まれて初めてです
気付くと頭痛が治まっています(やった!)
輸血ー
血液が足りない人のための医療行為だとばかり思っていましたが
いろんな使い方があるんですね
ありがたいことです
ちなみに、もし病院にRHマイナスの血液がなくても
私は焦りません
実は3人の息子たちの中に、私と同じ血液型でRHマイナスの子がいるんです
あっ今、
「かわいそう」と思った人!
あなたはきっと50歳以上(笑)
そうじゃないんです
生まれた瞬間、親孝行なんですよ