昨日ブログの更新ができませんでした

最近頭痛に悩まされてるぐらいで調子が悪かったわけではありません

実は「Fukushima50」という新作映画について別の原稿を書いていたのです

36日公開

あの福島第1原発事故の際に原発内で何が起きていたのか?

作業員たちが自分ちの命を削りながら困難に立ち向かう姿を実話を基に描いた大変な感動作です。

 

キネマ旬報からこの作品について震災での取材経験が長い笠井さんに思うことを2000字で、体調がよければ書いて欲しいというありがたい依頼を受けました(鋭意執筆中!)。

 

ところで昨日は午前中、私がフリーになった直後に出して頂いた番組、TBSラジオ「ナイツのちゃきちゃき大放送」を聞いていました

 

すると、シネコンの前で、これから「パラサイト」を観ようとする人に映画の結末を”生”で予想してもらおうというんです!なんて無謀な企画()。もし誰かが、ペロッっとネタバレ喋ったらどうすんの!ですよ。

ポン・ジュノ監督もネタバレは生命線と考えてるようで、世界で初めて披露したカンヌ映画祭でパルムドールという最高賞受賞した際、マスコミこんなメッセージを配っているんです。

 

(ガジェット通信より)

 

一流監督が「ネタバレ厳禁」と公式声明を出すなんて聞いたことありません

なのに、「自分では『シックスセンス』のネタバレしてるじゃんか!」とツッコミを受けそうなあたりは、この監督のこの監督の笑いのセンスなんですよね

 

私と軽部さんの映画紹介番組「男おばさん」でも毎週3本の映画は紹介するのですが、「どこまで話すか」はよく問題になってます。「パラサイト」の時も話し合いました。

 

「チラシや公式ホームページに載っていることまでは、いいんじゃないか?」まずはそこ。

でもね、これが結構ネタバレが多いんです

 

 例えば、1999年「ディープ・ブルー」というサメ映画の傑作が公開された時に私と軽部さんはそのCMに衝撃を受けました

一番衝撃的な度肝を抜くシーンがあるんですが、CMでそこ使ってるんです!()

 

「おいおい、それじゃ客がビックリしなくなるよ」

 

しかし、そのCMの衝撃でひかれた人達が映画館に行ったようで映画は結構ヒットしました。

難しいんです映画紹介って…

 

「男おばさん」でも紹介した後に、「今のはちょっと話しすぎではないか」と、ディレクターや軽部さんから指摘があって撮り直しもあるんですよ。

 

で、パラサイトの私の感想です。

ポンジュノ監督は、これまでもシリアスの中にコメディをまぶすのがうまい監督さんで、今回もそれを感じました。

 

そして、この作品のキーワードは、「臭(にお)い」だなと。

言葉を越えて、格差社会における「臭い」の描き方が、普遍的共感として「そうそう!」と。これが世界中で受けている理由の一つかなと、思うのです。

 

先日フジアナの後輩が「最後、ああなる必要があったんでしょうか?」

と、疑問を投げかけてきました

 

実は私もクライマックスが引っかかっていて、「パラサイト」は満点ではありません。

しかし、考えてみれば、あれこそが韓国映画のスタイル!

 

アカデミー会員は、感動や涙よりも、誰も思いつかないストーリー展開を、そのオリジナル性を評価したんだと思います。

 

ところで、“パラサイト”は寄生するものという意味。

寄生映画は「パラサイト」だけではありません。

人間に寄生するエイリアンを描いた傑作SF映画「ヒドゥン」知ってます?

めちゃくちゃ面白いんですよ

1988年公開

このエイリアンに寄生された人物は不死身となり、スーパーカーとハードロックとスピード狂になって悪の限りを尽くし始める。冒頭からカーアクション、銃撃戦の連続で、本当にスカッとします。CGの無い時代の手作り感満載のSF映画はやっぱりいい。

 

最後にネタバレの私の体験談を…

同世代の方は高倉健さん主演の「幸福の黄色いハンカチ」って知ってますよね

 

中学・高校時代時代に映画のチラシ集めをしていた私は、

自分所蔵のこの作品のチラシにずっと疑問を持っていました。

 

健さんが出所して、妻の倍賞千恵子さんが自宅で黄色いハンカチを掲げて待っていくれているかどうか…というのが物語の肝です。

 

しかし、このチラシ見てください

 めっちゃ掲げてるじゃん!

しかも、二人会ちゃってるし!

完全にネタバレチラシ!()

 

それから30年以上経って私にチャンスが巡ってきました。

「ゆうばり国際映画祭」に山田洋次監督がやってきてくださり、毎年司会をしている私とミニトークショーをすることなったんです。

 

そこで「こんな質問したら怒られるかな」と思いながらも

私は舞台上で思い切って監督に聞きました。

 

「あのチラシやポスターは完全にネタバレしていましたけど、監督としてよく許しましたね?」

 

ぶしつけな質問に会場は一瞬冷え込みました

私も「やばかったかな」と…

すると、山田監督は悠然とこう答えたのです

 

「私は結末がわかっているからといって、泣けない映画は作りません」

 

うわ!

次の瞬間ものすごい会場の拍手

アカデミー賞の会場なら全員スタンディングオベーションです

あっぱれ、さすが巨匠。

私の完敗でした

 

さて皆さんは「パラサイト」どうご覧になりましたか

これから見る方のために、ネタバレの感想は厳禁です

ハッピーorバッドエンド?

そのあたりもナイショでね

 

PS

なななんと!妻が尊敬する大脚本家の先生からプレゼントが届きました。開けてみたら

黄色いハンカチ!なんという偶然

しかも送り主の名前が数字で入ってます(笑) 。

やっぱり脚本家の先生です

あの映画に掛けてる

待ってて下さい。

元気になって帰ってきまーす!

男おばさん!!

【フジテレビTWO】

【日本映画専門チャンネル】で放送中

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