「残っている髪の毛を大事にしてあげてください」

「入院中に丸坊主にしましたが、スッキリお勧めです」

「短く切りすぎは良くないです」

「ツルツル頭は楽でいいですよ」

 

頭髪が抜け始めた頃から私のブログのコメントに、

皆さんから“真逆のアドバイス”をたくさん頂きました。

 

ありがとう…っていうか、迷うじゃないですか!

 

しかし、わずかに残った数百本の髪の毛の、なんとも言えないビジュアルを見ていると、

「やっぱり頭を丸めた方がいいかな」と思い始めました。

 

そこで若い女性の看護師さんに相談したんです。

 

「この状態で病院の床屋さんで切ってもらえるかな」

「電気バリカンなら、今お貸しできますよ」

「なんですと!」

 

ここにある!

床屋さんに頼まなくても、自分でツルツルにできる!

 

そう判ると、もういてもたってもいられなくなり、

「電気バリカン貸してください!」

「はい!蒸しタオル持ってきますね」(←即答)

なんという行き届いた対応。

一流ホテルでもこうはいかないですよ。

 

「せっかくだから看護師さんに切ってもらおうかな?」

 

一瞬、頭をよぎりましたが、またも“羞恥心”が邪魔をします。

この、かなりアンバランスな髪型を見せるのが恥ずかしい。

 

「自分でやりますから大丈夫です」

バリカンを持ってきた彼女に2枚目風に答えてる私(笑)。

 

浴室へ行き、バリカンを頭に…。

🎶ウィーン、ウィーン🎶

切れ味がいい。

 

 

バリカンは枯れた柳のような毛をバサバサ刈っていきました。

いや、今の表現は違うな。

バサバサほど髪は残ってない。

シャリシャリ切っていく感じ?

 

髪の毛は足元にパラパラと落ちていきます。

なんかちょっと複雑な気持ちになりました。

 

抗がん剤を10日間24時間連続で、つまり240時間打ち続けても

踏ん張って残った「髪の毛くん達」なんです。

それを「見栄えが悪いから」といって容赦なく刈ってゆく作業は、

何か地球温暖化のために頑張っている森を無理やり伐採していくような…。

 

あとで、悪いことが起きやしないか?…。

なんて考えてると、あっという間に頭はツルツルなりました。

 

「あ!ファンシイダンス」

 

(1989年公開)

 

周防正行監督作、バブル男の本木雅弘さんが、お坊さんの修行をやらされる、あの青春コメディ映画のモッくんを思い出しました。

 

というのも…

「麒麟がくる」の第2話で本木さんの斎藤道三がまあ、素晴らしく渋い芝居を見せて目が離せなかったもので、本木つながりで思わず自分と重ねてしまったんですよ。

 

(C)NHK

 


「ありゃ、オレ、頭の形.、

結構いいんでないかい」

スマホを自撮りスタイルにして鏡代わりに見ると、 

まんざらでもない。




 

特別公開 「我が頭部」 (笑)

 

しかし、どうもムラが残るので、ナースコールで看護師さんを呼びました

 

ところが!やってきたのは別の看護師さん。

坊主頭の私は、何から話せばいいのか言葉に詰まり、

「あのーえー」

「あ、話しづらいなら担当の看護師呼んできますね」

もう、何も言わなくても、ちゃんとこちらの気持ちをわかってくれる。

「看護師さんは天使」と言われますが、入院してるとホントよくわかります

 

で、担当の看護師さんに後ろ頭にバリカンかけてもらいました。

髪の毛って人にいじってもらうと持ちがいいとよく言いますが、髪の毛が “なくても”「気持ちがいいなー」と、今回初めて気づきました

 

さ、蒸しタオルで頭を拭いて完成です。

なんか頭がピカピカ光ってます。




 

「我が頭部、再び」

 

そして、改めてスマホを見た瞬間、

 

「死んだ爺ちゃんに似てる!」

 

悲しいかな「ファンシーダンスのモッくん」というのは幻想でした。

年齢が違い過ぎましたね。

 

さて、すっきりしたところで考えるのは、

次は「眉(まゆ)が抜ける」のではないか…。

 

眉がなくなったらこれはもう、組の人ですよね。

さすがの童顔の私も、お仲間に入るんじゃないか。

なにか、それ用の眉を書く化粧品があるようで、目下興味深々です。

 

ピカ頭の「ニュー・カサイ」は誕生しました。

もしかすると3回目の抗がん剤治療で、

さらなる「新・ニュー・カサイ」に出会えるかもしれません。

ちょっと楽しみになってきました。

 

もう、ここまで来ると楽しむしかないですよね。

眉、まつ毛、あそこだって!

抜けるものなら抜けてみんしゃい!