サンチンの型稽古における重要な注意点として、「作った動きをしない」ということが挙げられます。これは、単に形状を作るだけでなく、その形態を維持するために働く力の流れを感知し、それに沿って動くことを意味します。

初心者の段階では、力の流れを感知することは難しいかもしれません。そのため、最初は自分の意図に従って動くことになります。しかし、正しい形状を作ることで力の流れが生じ、練習を重ねることでその流れを感知できるようになります。

型稽古が進むにつれて、力の流れを感じるようになると、自分の身体に内在していた回路が開き始めると言えます。この状態の開放が、身体が新たな状態へ変容することを意味します。この変容した身体状態そのものが「術」であり、型稽古を通じて身体そのものが変容していくプロセスが内在しています。

そのため、型稽古では見た目の美しさや力強さよりも、型から生み出される流れを正確にトレースすることが重要です。丁寧な動きを通じて、その流れを感じ取ることが大切です。