自分の意図で身体を動かすことと
型が求める動きに従うことは全く別のものです。
型が求める動きに従うとは
型が要求する形状を保持する時に生じる力の流れに従うことを意味します。
形状を保持するときに生じる力は身体の末端である四肢から
胴体部分に流れていきます。
その流れをトレースするようにして動くことが
型が求める動きに従うという意味です。
一般的に考えられている型の動きとは
目に見える外形に従って、体重移動をしていくものですが、
ここで意味している型が求める動きに従うとは、
型の外見上の形による動きのことではないのです。
例えば、突きをするときに腕を引いて、腕をまっすぐ前にだすことが
突きであるというふうに考えると思います。そのため力強い突きをするとは
その動きにスピードを付けたり、当たったときに跳ね返ってくる衝撃に身体がまけないようにするため
背中や腰回りを強くするような稽古方法がとられます。
しかし、ここで言う、形状を保持するときに生じる力が身体の末端から胴体部分に流れてくるという意味は
内部感覚としての力の流れのことであり、それはあくまでも型の形状を取った、その結果として出てくる力のことです。
自分の意図で力を出そうとすることではなく、
自分の意図はあくまでも、型の形状を正しく作るというその点までしかありません。
力は型の形状が取れた時に身体内部に自然と流れてくる力のことです。
そのことを内形と言います。
つまり、内形とは自分の意図では作りだせないものなのです。
正しい型の形状を取ったときに、その結果として生じてくる力の流れであり、
その力の流れは型稽古を始めたばかりの頃は、感知することができませんが、
型稽古に取り組みながら、それと同時に一触による力の転写を受けることで
すこしずつ、感知できるようになります。
このことが身体からのフィードバックと言われるものであり、
頭の指示で身体に力を生み出す動きをすることではなく、
力の流れを身体から頭へと昇らせていくことが、稽古の意味になります。
突きの力を生み出すために身体作りをしたり、そのやり方を学ぶことが稽古なのではなく、
身体内部で生じる力の流れを感知できるようになる繊細な感覚を磨くことが稽古なのです。
そのため、どうしても型稽古だけでなく、一触の指導方法が必要となります。
型によって生じた内部感覚が正しいものかどうかは、それができている人の身体状態と
比べる必要があります。
そのためには実際に内形としての技を受ける必要があります。
技を受けた時の感覚が、その手掛かりになります。
その手掛かりがないまま、ただ、型稽古をやり続ければいつかできるようになるという考えは
幻想にすぎないものであり、費やした時間がまったく意味をなさないものになってしまいます。
正しい形状を保持すること、そして一触を通じて内部感覚の手掛かりを得ることは
とても大切なことです。
まとめると以下のようになります。
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自己意識と型に従う動きの違い: 自分の意図で身体を動かすことと、型が求める動きに従うことは異なるものであり、後者は型の形状を保持する際に生じる力の流れに従うことを指す。
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型の動きとは外見だけではない: 一般的な理解では、型の動きは外見上の形に従って行われるが、単に外見だけでなく、内部感覚としての力の流れに従うことを意味する。
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内形とは: 正しい型の形状を取ったときに生じる身体内部の力の流れを指し、自己意識では作り出せないものである。
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身体からのフィードバック: 稽古の意味は、頭の指示ではなく、身体から頭へと昇らせる力の流れを感知することである。
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一触の重要性: 正しい内部感覚を得るためには、一触を通じて内形の手掛かりを得る必要があり、それが幻想ではなく実践的な手法である。
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型稽古と一触の組み合わせ: 正しい形状を保持することと一触を通じて内部感覚を得ることは、どちらも重要であり、両者を組み合わせることが必要である。