型稽古を繰り返すことによって、
身体内に型意識が芽生えていきます。
「身体内に型意識が芽生える」とは、
いかなる場合でも型によって生じた内部感覚が
オートマチックに再現できるということです。
もちろん、空手の型稽古の目的は
流派によって異なりますので、
この型意識と言った場合もその捉え方は様々です。
当会の場合の型意識とは、
身体を巧みに操作することではなく、
身体そのものの状態のことを指します。
つまり、
自分の意図で腕や足などの身体を操作するのではなく、
手に意図をこめたときに、
身体そのものが型稽古によって生み出された身体状態に
変化することを意味します。
ですから、型によって効果的な突きを学ぶとか、
あるいは受けの方法を型で学ぶというような稽古方法にはなりません。
型の突きや受けの動きを頭で
考えて技として使えるようになるということではないのです。
そうではなく、突きという動作、受けという動作が、
すべて型意識として身体に収斂(しゅうれん)されていくことに
型稽古の意義があります。
(*収斂(しゅうれん)とは「複数の物が互いに異なる性質・指標などをもっている状況から同質化・相似化が進むこと」)
そして、その収斂がどのくらい進んだか、
型意識がどのくらい芽生えてきたかを知るために、部分稽古を行います。
初心者のうちは、部分稽古は座った状態で行います。
これは座った方が身体に捻じれが生じにくいからであり、
ほんの少しの力で相手の軸が崩れれば、
動きの質がある程度、型意識として収斂されていることになります。
その確認が取れれば次は分解組手に移行することになります。