《本日、皇帝陛下の次男イ･セナ親王殿下の幼稚園卒園式が行われます。
セナ様は、今朝はいつも通りにお目覚めになられ、卒園式に出席されるご両親より一足早く、いつも通りに幼稚園に登園されました。》
「……ジュアン、どうしてジュアンが泣いてるの？」
「だって……こうやって一緒に幼稚園に行くの今日が最後なんだもん。明日からジュアン、一人で幼稚園に行くんだもん。」
「でも来月になったらメイちゃんが幼稚園に入るよ。ジュアン、今年、お姉さんになるんでしょ？お姉さんの練習でメイちゃんと一緒に幼稚園にいけばいいよ。」
そう幼稚園に向かう車内でセナ様とジュアンの会話が繰り広げられている。
セナ様は『メイ様と一緒に』というが……。
生憎、開かれた皇室といっても、警護関連はいまだどこか閉鎖的でな……。
大君様一家と皇帝一家では警護の部署が違ってな、セナ様。
ジュアンがメイ様と一緒に幼稚園に通うということは……あんまりないんじゃないかなぁ？
「安心しろ。まだ正式に決まった訳じゃないが、ザン様、セナ様を小学校に送り届けた後でそのまま幼稚園にジュアンを置いていくルートになりそうだ。だから三人一緒に宮殿を出ることになりそうだぞ。」
「えっ？！パパ、ホントッ？！」
後部座席からジュアンが身を乗り出した。
「ホントにザンとセナと一緒に行けるの？！」
「まぁ……今のところの予定ではな。でもそうなると、今までより少し早く宮殿を出ることになるぞ、ジュアン。」
「な～んだ。心配して損した！ジュアン、パパと二人で車に乗らなきゃいけないのかと思って心配しちゃったよ！」
「………。」
娘よ。
それは……。
父と二人で車に乗ることがイヤというわけか……？