前回紹介したPECSについてです。
正式にはthe Picture Exchange Communication System:絵カード交換式コミュニケーションシステムと言います。
PECSの場合は共同注意など出来た方がいいかなと思いますが、動作模倣など出来なくても実施できるので、多くの子が使用できるコミュニケーションツールです。
色々なステップ(PECSではフェイズと言います)がありますが、最後まで出来なくても、前半部分でもある程度のやりとりはできるようになります。
もちろん全くPESCを身につけられない子もいます。
ただ、手話なんかよりは簡単なので、身につけやすいと思います。
そしてPECSでコミュニケーションができるようになった子の中には話せるようになる子もいるそうです。
私は、今のところ会ってはいないですが・・・。
さて、早速どんなものなのか、ざっくりと説明すると
「欲しいものが描かれた絵カードを誰かに渡して交換してもらう」です。
その動作を身につけるだけでもなかなか大変な子もいれば、あっという言う間に覚えてしまう子もいます。
そして、これができるようになると、どうなるか。
「癇癪が減ります」。
子どもも自分の要求を今まで伝える手段がなかった中で、ちゃんと伝わるわけですから、癇癪を起こすことも減るわけです。
もちろん、指差しなどでもできるでしょう。
ただ、それはあくまでも目に見えている範囲などでしか相手に伝えられないわけですよね。
それがPECSを使うことで色々なことが伝わる。
そして、周りの大人も子どもの要求がわかるだけで、ずいぶん楽になるはずです。
イメージがわかない人はYoutubeなどでPECSと調べると外国の動画ですが出てきます。
そして最初に子供が要求するものとして使いやすいのが、「食べ物」です。
強化子にも段階があって、食べ物の強化は強くて入りやすいです。
カードを渡せたら、お菓子をあげる。
そこから始めることが多いです。
よく「お菓子で釣るなんて」という人がいたりしますが、生き物の本能して3大欲求(マズローの欲求階層説では生理的欲求)なので強化子として強いんですもの、いいじゃないですか、と思います。
応用行動分析を犬の調教みたいともいう人がいますが、そもそも行動分析は動物の学習理論を元にしているのでそうですねとしか答えられないんですね。
ただ、それが療育のスタンダード理論だということは知って欲しい。
なのでPECSも応用行動分析を基にしています。
それに抵抗がある場合は、なかなか療育自体が難しいかなと思います。
次回はPECSを勧める理由について書いてみたいと思います。