英雄伝説 黎の軌跡Ⅱ -CRIMSON SiN-
総評です。
総評:72点
オススメ:★☆☆☆☆
オススメが低いのは、「軌跡シリーズ」があまりにも長すぎて、新規には勧めにくいから。
今作も、前作はもちろん、前々作『創の軌跡』をプレイ推奨なのですが、
その『創の軌跡』を楽しむためには、『零・碧』二部作+『閃』4部作をやる必要がある……と、
なかなか厳しい状況です。
一応、最低限のことは作中でも説明されているので、とりあえず『黎Ⅰ』だけでもなんとかなると言えばなりますが。
今回、メインストーリーが進まない!
作中でも「今回の事件はイレギュラー」と言われている通り、
メインとなるであろう結社の「永劫回帰計画」には全くと言っていいほど触れられませんでした。
一応、解決した謎としては、
・最後のゲネシスの行方
・カトルの正体
・謎のメールの送り主≪C≫の正体
・ニナの正体(ただ、その役割と目的は不明)
といったところ。少ないです。
無理に3部作にしないでもよかったんじゃないかな……。
そして、批判されがちな「巻戻り」。
最初こそ衝撃的でしたが、
「ああ、どうせ巻き戻るんでしょ」的な慣れがでて、中盤以降はしらけてしまいましたね。
昔の少年漫画でよくあった、「どうせ、次の章で生き返るんでしょ」と冷めていく感覚に似ています。
「鋭い嗅覚でなんども修羅場を潜り抜けてきた」はずのヴァンが、あからさまな罠に引っかかったり、
素人でもしないような凡ミスをしたり、
とあまりにもシナリオがご都合主義的になってしまったのは残念。
巻戻りを題材にしたゲームは、「シュタインズ・ゲート」や「ライフイズストレンジ」などの名作ADVがありますが、あれらをプレイしているとそのご都合主義と軽さがさらに際立ちます。
このシリーズはシナリオが命なので、もう少し考えてほしかったところですね。
今回はミニゲームを増えましたが、「面倒なうえにつまらない」ものばかりでした。
一応、飛ばしてもストーリー進行に関係はないものの、クリア得点のことを考えるとプレイしたほうがお得なので……結局、どうやってもやることとなりストレスがたまります。
特に、断章でのアクティビティは酷かった……。
今作の目玉でもある「御伽の庭城」も、『創の軌跡』にような拠点での他キャラとの会話、戦闘後の特殊なやり取りなどがないため、作業感が非常に強い。
途中からは、課題をクリアしたらさっさと次のフロアに行くようにしていました。
と、こういった理由で軌跡シリーズとしては低い評価としましたが、
もちろん良い点も多かったです。
一番よかったのは、サイドが分かれてストーリーが進むところですね。
キャラが増えてきたためか、いくつかの章で2グループにわかれてそれぞれのストーリーが進行します。
このおかげで、「首都での日常→地方出張」の繰り返しというマンネリを打開できたうえ、それぞれのキャラの見せ場が作りやすくなっているという利点が生まれ、より群像劇らしくなっています。
これは非常に良いシステムだと思うので、次回作でもぜひ導入してほしいところです。
次回作で共和国編は最終章とのことなので、良いところはさらに伸ばし、悪いところは改善または思い切って切り捨てる、というようにストーリー・システム両面で素晴らしいものとなることを期待します。