ひきつづき
英雄伝説 碧の軌跡・改
プレイ記
ネタバレありで行きます。
自分の存在を消滅させようとしているキーアを止めるため、亜空間に飛び込んだロイド。
そこでロイドは、思いがけない人物と再会します。
それは、すでに亡くなっているはずの兄・ガイです。
もちろん、ほんものではなくキーアが過去の世界の情報から再現したコピーですが、
それでも限りなく本物に近い存在です。
ガイは問いかけます。
至宝の力をつかい、因果を組み直せば、
ガイが生きている未来も選べる、と。
大好きだった兄が生きていてくれるなら嬉しいに決まっています。
しかし、
それをすると、いままで頑張ってきた誰かの努力を否定し、
紡いできた絆を無に帰すことになります。
それは、人間の尊厳を奪う事でもあります。
ロイドは、因果を改変せず、仲間たちとともに歩んできた「今」を選ぶことを選択しました。
その答えに満足するガイ。
自分がいなくても弟も、そして恋人だったセシルも前を向いて歩いて行けることがわかって、安心したようです。
ロイドは、ガイに背中を押してもらい、キーアの元へ急ぎます。
シリーズで何度か見られる、
再現された死者との会話。
ありきたりではありますが、泣けます。
感動的なシーンではありますが、
2000年代の名作ロボットアニメ
「天元突破グレンラガン」
にも、同様のシーンがあり、
しかも兄と弟の声優が一緒(「グレンラガン」の方は実の兄弟ではなく義兄弟でしたが)と、
まさに狙ったとしか思えない配役。
「グレンラガン」を知っていると、感動よりも笑って(苦笑か、それとも爆笑か)しまうかもしれませんね。
このシーンで思い出すのが、
「ドラゴンクエストⅪ」です。
「過ぎ去りし時をもとめて」というサブタイトルの通り、主人公はタイムスリップするのですが、それによって過去の出来事を改変することになります。
それにより、本来なら死亡するはずだった多くの命を救うことになるのですが、
同時に、苦難を乗り越えた末の成長や、結んだ絆をリセットすることにもなりました。
努力の結果や絆よりも、大切なひとたちが戻ってきたほうがよっぽどいい、
というのは否定できませんが、
果たしてどちらが良いのか……というのは、現実ではありえないことでありながら考えてしまいますね。
みなさんはどう思われますか???
ロイドは、自分が無意識にロイド達の心を操っていたという自責の念にかられていたキーアを優しくさとし、
彼女を現実世界に連れ戻すことに成功しました。
この時点でキーアの至宝としての力は失われます。
マリアベルは、これでもう興味はなくなったと言わんばかり。
ロイド達にとどめを刺すわけでもなく、この大樹が消滅する前に逃げるように言い残し、去っていきます。
ちなみに、前任者(前シリーズの黒幕・白面のワイスマン)の死亡によって空席となっている結社の第三柱に収まることになったようです。
この際、ランディは「敵ではあるがどこか憎めない」と評していますが、
ちょっと甘いような気はしますね~。
他の黒幕は、
ディーター……大国に脅かされるクロスベルをなんとかしたかったのは事実で、世界平和も本気で願っていた。
アリオス……クロスベルの現状を変えるとともに、愛する娘の目を治したいと思っていた。
イアン・グリムウッド……妻子を失くした自分のような悲しみを味わうひとが二度と出ない世界を作りたかった。
と、やり方は間違っていたものの、みなそれぞれクロスベルという地を愛し、なんとか現状を変えたいと思っていたのは事実。
しかし、
マリアベル……とりあえず、おもしろそうだから。
と、興味本位で多くのひとの人生をもてあそんだわけであり、とても憎めない人物であるとは思えないのですが……。
とはいうものの、さすがに命までは奪っていないので、「目的のためなら、殺人も虐殺も平気で行う」白面のワイスマンよりは、少しマシなのかもしれません。
(さすがに後のシリーズで再会したエリィは「あなたは最低よ」と怒りの言葉をぶつけています)
こうして、零の至宝は失われ、クロスベルの事件はひと段落しました。
が、
そのすぐあと、内戦を終結させた帝国に攻め込まれ、クロスベルはあっというまに占領されてしまいました。
物語は、二年の歳月を経て、ロイド達のがんばりでクロスベルが開放されることを示唆して集結します。
う~む。
やはりすっきりしない終わり方。
このEDで「帝国では鉄血宰相が勝利した」ことが語られますが、
同じ時間軸の帝国を描いた「閃の軌跡」は、そのせいで最終版の展開がわかってしまうのですね~。
公式が堂々とネタバレを仕掛けてくる、というとんでもないことをやらかしています。
じゃあ、クロスベル編をやらないで「閃の軌跡」をやったほうがいいの? と聞かれると、
クロスベルという土地のことをしらないと、「閃」の物語を完全には理解できないのでそうとも言い切れない……。
このあたりはどうにかしてほしかったですね。
なお、
クロスベル開放が達成されるのは、「創の軌跡」ですが、
「碧の軌跡」が2011年発売、「創の軌跡」が2020年発売ですから、
じつに9年かかっているわけです!
ゲーム内の時間(2年)の4倍以上!
他にこんなシリーズないでしょうね、たぶん。
次回は総評です