今回より

ライザのアトリエ 〜常闇の女王と秘密の隠れ家〜

 

 

発売年月:2019年9月

対応機種:PS4・Nintendo Switch

ジャンル:RPG

 

オススメポイント

・とにかくアイテムの調合が楽しい

・好感のもてるキャラクターたち

・メインキャラだけではなく、島の人々それぞれが抱える事情が見えるクエスト

 

気になるポイント

・とにかく忙しい戦闘システム

・採取アイテムの変更が面倒

 

「マリーのアトリエ」以降、綿々と続く「アトリエシリーズ」の(現時点での)最新作。

アトリエシリーズは、だいたい3作ほど「〇〇シリーズ」で統一され、世界観やシステムなどが共通します。

今作は、新シリーズの第一作で「秘密シリーズ」と呼ばれる作品群になると言われています。

 

アトリエシリーズは長く続くシリーズであるものの、

それ故にファンの固定、新規ユーザーの取り込み不足などが続き、長らく売り上げで苦戦していました。

しかし、今回の「ライザ」は発売前から多くのユーザーに注目され、

発売されるとその評価も高く、世界累計40万本を突破という大ヒットとなりました。これは、アトリエシリーズでも最高の売上とのことです。

「ライザ」が初アトリエシリーズというユーザーも意外と多いみたいで、実は管理人もそのひとりだったりしますwww。

 

●ひと夏の冒険

冒険の主な舞台となるのは、汽水湖に浮かぶ小さな島「クーケン島」とその周辺の地域。

主要都市からは離れた田舎で、森あり、山あり、と自然豊かな地です。

それ以外にも、かつて栄えたクリント王国の遺跡が多く残っています。

住民たちは、多くが農業や漁業を営んでつつましく暮らしています。

そんな刺激のない生活に飽き飽きしているのが、主人公のライザリン(通称ライザ)。

幼馴染のレント、タオとともに今日も冒険を求め、島の対岸に漕ぎ出すのですが……。

 

「なんでもない日常」に飽き飽きした主人公が、錬金術という未知の技術と出会うことにより、「なんでもない日常」から抜け出すものの、

最後は「なんでもない日常を守るために戦う」という一連の流れはベタですが、非常に好感の持てるストーリーとなっています。

コンセプトも「ひと夏の冒険」であり、比較的短いものの手堅くまとまっています。

未知の技術への憧れ、未知なるものへの無理解を露わにするおとなたち、敵対していた幼馴染との和解、明かされる島の秘密……。

児童向けの冒険小説のツボをこれでもか、これでもか! というように、おさえており、まさに良質なジュブナイルと評価すべきでしょう。

アトリエシリーズはマルチシナリオだったり、イベントに日数の期限を設けることも多いのですが、

本作は基本一本道であり、メインイベントからクエストまで日数の制限はありません。

それゆえ、時間やフラグを気にすることなく、自分のペースでゆっくりとストーリーを追いかけることができます。

クエストも豊富で、おなじ人物から異なる依頼を受けることも多くあります。

おなじ人物からのクエストは、ストーリーがつながっていることが多いため、クエストを受ければ受けるほど、その人物のひととなりが理解できるようになっていきます。

過去の記憶を失った意思、後継者を探す染物屋、すてきな王子様を待っていただけのはずが、いつのまにか武術大会で優勝するほどの腕前になっていく女性……など、島の住人(たまに、島の外から来た行商人などの依頼も)たちは皆個性的で、クエストをやっているうちに住人達が、そしてこの島が大好きになって行きます。

それ故に、終盤の「島を守りたい」という主人公たちの思いとユーザーの思いが合致することになるわけで、より感情移入できるようになっています。

 

また、ジュブナイルらしく本当の意味での悪人はおらず、主人公たちを「悪童」呼ばわりしてバカにする村の有力者にも、息子を心から愛しているということや、外界との交わりを断つべきとする古老に反対し、ひとの行き来を活発にするなどの良い面がちゃんと描かれています。

このゲームの感想で、「よそ者を嫌うおとなたちが嫌い」という意見もありますが、

閉鎖された田舎であればむしろそれが普通でしょう。

田舎の暖かさも、偏狭さも、同時に描いているあがtり、けっこうリアルであるという事もできるのではないでしょうか。

 

つづきます