かめに負けたうさぎ 日本のイソップ寓話
 
イソップ寓話はけっこう古くに日本に伝わっており、日本の昔話に変化して伝わったものもいくつかあります。
とくに、「うさぎとかめ」の話はとても好まれたようで、、なんとその続編まで作られているのです。
 
むかしむかし
かめと競争をしたうさぎがいました。
ほんとうなら圧勝のところ、油断して昼寝をしたため、うさぎは負けてしまったのです。
うさぎの村では、この負けうさぎを「うさぎ一族の恥さらし」とののしり、村を追放してしまいました。
 
さて、それからしばらくして、狼から書簡が届きました。
『おまえたちの村を襲ってやる。それがいやなら子うさぎを三匹さしだせ』という内容でした。
村はおおさわぎ。子どもをもった親はうちのこだけは勘弁、と泣き叫びます。
そのとき、負けうさぎがやってきていいました。
「私に考えがあります。私が狼を退治しましょう。そのかわり、うまくいったら村へ戻してください」
さて、狼との約束の日、負けうさぎは一匹だけで狼に会いに行きました。
場所は、切り立った崖のふちです。
狼が言いました。
「約束の子うさぎはどうした?」
「はい。連れてきたのですが、みんなあなたを怖がってこちらにこようとしないのです。もうしわけありませんが、しばらく後ろを向いていてくれませんか」
狼は、よかろう、と崖のほうを向き、うさぎに背を向けました。
うさぎはその時とばかり、渾身の力をこめてうさぎに体当たりしました。
思わぬ攻撃を受けた狼は、そのまま崖へまっ逆さまに落ちてしまったのでした。
 
こうして、名誉を挽回した負けうさぎは、村へ戻ることができたのでした。