八ヶ岳の伝説
 
長野県と山梨県の間にある八ヶ岳。
その名のとおり、いくつもの山があつまってできています。
その八ヶ岳が誕生した由来を語るお話が、山梨県や長野県にはいくつか残っています。
 
むかしむかし、
富士山と八ヶ岳が「どちらが高いか」でけんかをしました。
お互い自分が高い、と一歩も譲らず、ついに山の神様に決めてもらうことにしました。
山の神様は、長い樋を用意して、それぞれの端をふたりの山頂に乗せ、真ん中から水を流しました。
すると、どうでしょう。水は富士山のほうへと流れていきます。
「水は低いところに流れる。これで、富士山のほうが低く、八ヶ岳のほうがたかいことがはっきりした」
富士山は、悔しくてたまりません。
そして、力任せに八ヶ岳の頭を殴りつけました。
そのため、八ヶ岳は山頂が崩れていまのような形になり、高さも富士山より低くなってしまった、ということです。
 
また、こんなお話もあります。
むかしダイダラボッチという大男がいました。
山を枕に昼寝をし、火山の火口に鍋を乗せて煮炊きする、というほどの巨人でした。
ある日、ダイダラボッチは
「八ヶ岳、おまえを日本一高い山にしてやる」
と、八ヶ岳が別にいい、とうのも聞かずに土を盛りました。
たくさんの土を盛ったので八ヶ岳は富士山よりも高くなりました。
しかし、八ヶ岳は
「土を盛られて頭が重い、頭が重い」
とうめきました。
自分が勝手にやったくせに、ダイダラボッチは腹をたて、
「情けないやつだ。おまえなんかこうしてやる!」
と八ヶ岳を踏み潰してしまいました。
こうして、いまの形の八ヶ岳になった、ということです。
 
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日本は山が多いため、こうした伝説や神話は数多く残っています。そして、昔のひとは山にも魂がある、と考えていたんですね。