柿の精
 
むかしむかし
ある山里に夫婦と娘が住んでいました。
ある日、娘がひとりで留守番をしていると、「ごめん」と誰かがたずねてきました。
戸を開けてみると、真っ赤な顔をした、見たことのない坊さんがいました。
「娘、すり鉢をもってこい」
坊さんは、命令するように言いました。
娘はその言い方にむっとしましたが、お安い御用なのですり鉢をもってきてやりました。
すると、坊さんはいきなり尻をまくり、その中に糞をひりました。
「さあ、これを食え」
「こんな汚い物嫌だ!」
「いいから食うのじゃ!」
坊さんがものすごい剣幕で睨むので、娘はしかたなくそれを一口食べました。
すると、それが意外にも甘くておいしいのです。
娘は思わず全部食べてしまいました。
「明日もまたくるぞ」
坊さんは、そういい残してどこかへ去っていきました。
 
こうして、坊さんは毎日、娘をたずねてくるようになりました。
娘はだんだん坊さんの正体が気になってきて、ある日こっそり後をつけました。
坊さんは、山へと分け入っていき、そして大きな柿の木のところで足を止めました。
すると、どうでしょう。坊さんの姿は、突然消えてしまったのです。
娘はびっくりして、あたりをさがしましたが、坊さんの姿は見えません。
「もしかして、坊さんはこの木の精だったのかもしれない。こんな山の奥になって、誰も柿を取りにこないから寂しかったんだ」
娘は、柿の実をたくさんもいで家に帰りました。
それから、坊さんがたずねてくることはなくなった、ということです。
 
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お下品なお話。
熟しすぎてグチャグチャになった柿は、たしかにあれににてますもんね。