猫じゃ
 
むかしむかし、
あるところに、両親と娘とが一匹の猫を飼って暮らしていました。
ある日、両親が出かけることになり、娘は留守番をしていました。
すると、猫がすくっと立ち上がり
「退屈だろう。踊りでも見せてやろうか」
と人間の言葉を喋りました。
そして、てぬぐいを頭にかぶり
「猫じゃ、猫じゃ」
と唄いながら踊り始めました。
踊りが終わると、猫はあっけにとられている娘に
「このことは誰にも話すな。話したら、おまえの命はないぞ」
と言いました。
やがて、両親が帰ってきました。
母親は、娘の様子がおかしいので問いただし、とうとう猫のことを聞き出しました。
「あの猫は化け猫だったのか。明日になったら、山に捨ててこよう」
 
さて、次の日。
母親が娘を起こしに行くと、娘は喉を噛み切られて死んでいました。
そして、猫の姿はどこを探してもみつからなかった、ということです。
(未来社 日本の民話1 より)
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怪談ですね~。
ほら、あなたの飼い猫も……。