今回は、KraのClown's Crownをレビューします。

本作は、Kraが2013年9月にリリースしたシングルで、アルバム「Joker's KINGDOM」から続く、「Joker」の物語を表しており、初回盤はDVD付、通常盤は1曲追加となっていて、アルバム未収録のシングル作品です。

 

Kra/Clown's Crown

 

1, Clown's Crown

シャッフル・リズムを取り入れては、ジャジーなベースが効いたアップテンポ・ナンバー。

お洒落な雰囲気だけど、サビは爽やかで広がりのあるポップさで、Kraらしさ全開の聴き易さがあります。

中盤の部分にあるクワイアは、景夕さん曰く、「わたしをみとめてください わたしをあいしてください」を右から読んだものになっているとのことで、歌詞は、王なるJokerの悩みや葛藤を描いていて、段々と壊れていく心境の中で世界を進めていこうとする感じですかね。

 

2, マスカレード

渋いギターがカッコいいロックンロールなアップテンポ・ナンバー。

Bメロで、がなり荒ぶる感じになってからの、サビはファルセットや高音を駆使する景夕さんの変化に富んだ歌声と表現力が凄く、最後のサビで半音下がる盛り上げ方も巧い。

 

歌詞は、王の本質を知る人から視点という感じで、所詮、王であれ仮面の下は誰しも同じで、悩みフラフラしている、その姿に頼りなさを感じているのか、代わりはどうにでもなると皮肉ってる感じですかね。

 

3, リルール

通常盤に収録されています。

三拍子でクラシカルに可愛らしく始まるダークでアッパーなロックで、サビでパンクに疾走しては景夕さんが荒ぶる歌い方で低音から高音まで聴かせているのがカッコよく、オリエンタルなギターも往年のV系っぽさというか、LamielとかLa'Muleあたりを彷彿させます。デスボが入って重々しい激しさが出る転調もKraにしては珍しい感じでカッコいい。

 

歌詞は、誰が上に立ち、下に就こうとも結局は、みんな何者かに操られているように生きているのだから、運命に現状に抗って進んでいき、自身の存在を示そうという感じの想いが描かれていますね。

 

総評:83点

 

全体を通して、お洒落な雰囲気にゴシックやジャズ、歌謡曲、ミュージカルな要素があって、従来のKraの感じでいくと大人びた湿っぽさがあり、「Joker's KINGDOM」と「サタナヒト」を繋ぐ作品だけあって、双方に寄せた作風の完成度高い1枚です。

シングルながら、3曲ともアルバム未収録でアルバムに挟まれている感じは、Dir en greyのain't afraid to dieやLaputaの深海みたいな位置付けを彷彿とさせますが、どれも良質な楽曲なので、アルバムしか買わないような人でも、Jokerの物語を楽しむ意味でも本作だけは手にして損は無いと思います。

 

Clown's Crownやマスカレードは2人体制になった現在も配信ライブで演奏されたので、今からKraを聴く人でも押さえておいたほうが良いでしょう。

個人的に、カップリングの2曲が凄くカッコ良くて気に入ってるし、今、聴くと、Leetspeak monstersやGRIMOIRE、ユメリープあたりが好きな人はオススメしたい雰囲気を持った1枚だとも思ってるので、気になった人は是非!!

 

オススメ曲・・・マスカレード、リルール