今回は、KEELの死々をレビューします。
2018年8月12日に第一期KEELとしての活動を終了したKEELにとって、本作は、2017年12月より会場と通販限定で販売している全3曲入りのシングルで、ドラムにC4の活動に専念していたTomoiを迎えて製作されています。
KEEL/死々
1, 喘鳴
Tomoiのドラムから始まる壮大で儚さのあるミドル・ナンバー。
ryoさんのファルセットが入るイントロが爽やかだったりするんだけど、AメロやBメロはいかにもaieのギターが主張するダークな感じで、サビやCメロはryoさんの色を強くしたように広がり舞う感じの印象を受けます。
歌詞は、何かを演じきって旅立つバレリーナの心境を描いているような感じで物語として次の曲へ繋がっているようなところがありますね。
2, 星成り
メロウで切ないサビが綺麗なミドル・バラード。
掻き鳴らすようなギターが効いたイントロこそaieのバンドらしくもあるんだけど、変則的なリズムにryoさんの歌声が入ることでGULLETや9GOATS BLACK OUTに近い感じになって、暗さと明るさを持ったドラマティックな展開が秀逸です。
歌詞は夏の終わりに今はもう傍に居ない人を星空と海を見ながら思うという感じでしょうかね。
3, Over
愁のベースから始まるパンキッシュな疾走系ロック。
荒々しくも確かな落ち着きのあるバンドサウンドがカッコよく、楽曲の雰囲気としては、張り付くように妖艶な歌声を聴かせては、サビにおいてシャウトをするryoさんのヴォーカルはGULLET以前と9GOATS BLACK OUT以降の良いところを巧く取った感じになっていて、とてもカッコ良いですし、曲の雰囲気としても、aieというよりTomoiというか、LaputaのBlack Sheepあたりの勢いよく〆る感じが出ていますね。
歌詞も遊び心を感じさせるくらいに単語を並べつつも世間に対して反抗的に荒ぶっている感じもあるのがryoさんとしては珍しいところがあります。「これで終わりじゃ嫌になるぜ」というのも何かのメッセージ性を感じます。
総評:80点
全体を通して、三者三様にしてKEELとして新境地を開拓した印象を受ける作品に仕上がっています。aieらしいオルタネイティブだったり、グランジ色は薄めで、ryoさん特有の煌びやかでメロウな歌が活きている色が強く出た感じになっており、愁のベースとTomoiさんのドラムによるリズム隊もタイトで落ち着きのある感じの音と演奏を利かせていて、これまでのKEELにありそうでなかったような感じになっています。
第一期KEELとしては、本作の後にベスト盤をリリースしているので、オリジナル作品としては、事実上、本作を最後に一区切りとなってしまいましたが、まだまだ活動しても良いんじゃないかと思えるくらいに新しさを出している1枚なので、ベスト盤で気になった人は本作も是非。
オススメ曲・・・星成り、Over