今回は、ムックのアンティーク-2nd Press-をレビューします。

2018年2月現在、有期限の活動休止をしているMUCCにとって、本作は、2000年にリリースされたバンドとして最初のミニアルバムです。

 

1st Pressは全5曲入りで1999年にリリース、2nd Pressは1曲追加で曲順を差し替えた上でリマスタリングをした全6曲入りにて2000年にリリースとなっています。

 

ムック/アンティーク-2nd Press-

 

 

1, ―――――。

砂嵐なノイズによるSE。

 

2, 焼け跡

2nd Pressで追加されています。

気だるい重さで響くギターが印象的で、初期ムックらしい暗くも哀愁歌謡でメロディアスな歌が活きていて、変拍子で激しさを増してからのサビで走り出していくのがカッコ良いです。

 

歌詞は、あの日に死んでおけば良かったと思うくらいに思い出を焼かれ壊されて怨む主人公の心境を描いた感じですね。

 

3, 四月のレンゲ草

ダークでノスタルジックな雰囲気を持ったバラード。

こまめに入るクリアなギターが良いアクセントになっていて、渋い音色で哀愁漂うソロが良い味出しており、YUKKEらしい坦々としたベースも効いている。

 

4, オルゴォル

YUKKEのベースから始まる変拍子でミドル・テンポのヘヴィロック。

暗く坦々としつつも、サビでアップテンポになって激しさを増していき、歌も早口になっていくのがインパクトあります。後半になるにつれで哀愁とV系らしいクリアな音色が増していくのも秀逸。

 

歌詞は、大好きだった音や声が聞こえなくなる。っというか響かなくなってしまうほどに変わり歪んでしまった現在への嫌気を表すような感じですね。

 

5, 九日

犬神凶子さんの「まだ貴方を愛しています」という台詞から始まる哀愁歌謡な泣きメロが効いた歌モノです。

ジャジーにバラードっぽくもあるんだけど、Bメロから広がっていき、サビで初期のムックらしい疾走感と歌謡メロを合わせた感じになるのが良くて、歌メロを弾くギター・ソロやジャジーでメロディアスなベース・ソロも素敵。

 

楽しみにしていた記念日を前に別れた愛しい人への未練ある想いを描いた女性目線での歌詞や凶子さんの台詞も切ない曲調に合っていますね。

 

6, アカ

暗く重いミドル・テンポの歌謡ナンバー。

ムックのイメージカラーである「赤」をそのまま曲調にした感じで、怨み妬みが滲み出てくるような暗めの赤色が伝わる暗さがあり、歌詞をそのままに叫んでるかのようなフックを効かせているサビのメロディも覚えやすくて、暗いんだけど聴きやすい。

 

いつしか何かに呪縛されたかのように、その色でしか色々なものが見えなくなってしまった主人公は何もかもが見えなくなればいいと叫ぶといった歌詞は、ムックらしい痛みを表した感じですね。

 

総評:90点

 

全体を通して、初期のムックらしく「痛み」を表した歌詞と重く暗いサウンドを軸に昭和歌謡曲な哀愁メロディアスな歌が効いていて、ヴィジュアル系色が強いながらに聴きやすい作品です。

 

今、聴くと音は比較的軽めですし、歌も演奏も粗さがありますが若さ故という感じで楽曲の完成度はどれも高く名曲ばかりで、アカやオルゴォルといった初期のムックにおける代表曲が本作から選出されているのも納得なところ。

 

1曲1曲がしっかりしているのでアルバムとしては弱いかもしれないですが、初期のムックを語る上では欠かせない1枚です。

 

今から聴くなら、後に出る哀愁を合わせた哀愁のアンティークをオススメしますが、一つの作品として歌詞カードやジャケットの感じとかも合わせて聴いてみたい人は手にしてみてもいいと思います。

 

オススメ曲・・・焼け跡、オルゴォル、九日、アカ