心法書道の慧竹です。

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何のために書道をやっているのかわからなくなった私が、あれよあれよという間に、導かれた書道留学。不思議な先生の不思議なレッスンは、その問いに対するドストライクな答えだった。書の学び方に悩んでいる方に、読んでいただきたい体当たりの体験記です。

(文中の短歌は母が詠んでくれたものです)

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  先生はさらに続けてこう言って聞かせた。

「まず、何段階かに分けて目標を決めていくことにします。信じてやり抜きましょう。これが一番の近道です。」

 

 最初の三ヶ月 【欲を断つ】

「一言で欲を断つといっても、これは大変なことだが、必ずできます。」と話し始めた。

 

 私はとりあえず言っておかなくてはと思い、

「それは無理だと思います、きっとできません。」と言い返した。

 

 どうしてかわからないが、先生は最初から私を買いかぶっていると思うふしがあったので、ちゃんと私のことを知ってもらっておく必要があった。無理してわかったふうにことが進んでは、絶対についていけないと確信していた。

 

 「生活をしていく上で、どんな状況にあろうが、欲を断つことが最終的な目標だけれど、まず、書の学び方として欲を断つ実践をやっていきましょう、少しずつ目標を持ってやっていけばできます」と先生は言った。

 

 書を学びに来て、浮足立っていた私には、とても厳しいことだった。いろんなものを観たいし、書いてみたかった。先生は会った最初から口をすっぱくして言うことがある。

 

「なんでもかんでも、興味が起こるがまま書けばいいというものではない、そんなことをしていたら何年、あるいは一生かかったって融合することはできない」と。

 

 確かにひとつの書を勉強するには、最低でも三年は書けないといけないと聞いたことはあった。

 

「書と一言で言っても、時代の傾向も違えば、楷書や行書など書体の種類にしてもあげればたくさんある。有名だといわれる書道家だって数えきれないほどいる。でもその中から好きな書を一つ選び、さらにその中の好きな一ページを選ぶ。さらにはその中で一番好きな一文字を選びなさい。それも欲を断つということになるのです。三ヶ月それだけを書いていくことにします。」

 

 私は信じられないその言葉にうちのめされた。

 

つづく

『中国書道留学記』 大西智子著  1,100円(税抜き) 

在庫限りとなりますが、ご要望の方はこちらまでご連絡ください。

shinposhodo@gmail.com

 

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