心法書道の慧竹です。

いつもご覧いただきありがとうございます。

 

大人クラスの書道教室に入ると、「ではまずこれから学んでいきましょう。」と、先生が何を書くのか薦めてくださるのが一般的ですが、心法書道では、何を書くのかは自分で決めます。

 

心法書道の考え方は、「書道は自分の魂を成長させるために有効な手段、臨書はただ書き方を学ぶのではなく、その人間性に近づき融合するための手段」なので、臨書する書は、それを学ぶ人物がそれを書くことで、人として向上できるものでなければなりません。

 

「人として向上する」というのも漠然としていますが、例えば、その書を書いていたら「積極的になった」とか、「人にやさしくなった」とか、「忍耐強くなった」など、以前の自分とはなんらかの良い変化が生じるというような意味です。

 

書には、書き手の性格、考え方、行動傾向、人との接し方、物事に対する取り組み方、喜怒哀楽などの精神状態、世界に対する理解など様々な情報が内包されています。

 

そして、人は千差万別、たとえ兄弟姉妹で同じように育ったとしても、その内なる世界はまるで違います。その人にとって何が人として成長のためになるのか、決して画一的ではないと思います。

生まれ持った質に、育った環境や個々の経験などから学んで身についたあらゆる要素で、人は出来上がっていきます。

 

自分が素晴らしいと思う人、自分が美しいと感じる人、自分が目指したいと思う人、みんな違って当然です。

臨書は、その書の書き手に近づき融合するという行為ですから、何を書くのか、自分が決めるのが一番自分にフィットするはずです。

 

そぎ落としてそぎ落として、最終的に好きなものをひとつに決めるということは、自分を見つめなおすことになります。自分が何を大切に思っているのか、自分がどうなりたいと思っているのか、選んだ書が教えてくれます。

 

心法書道の考え方は、一見とても理屈っぽいと感じるかもしれませんが、「好きを追求する」という、実は人間のとてもシンプルで感覚的なシステムに由るところが大きいのです。

 

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広島 仿古堂製 とても古いもの、今では作られなくなった樹脂の筆管です。