心法書道の慧竹です。

いつもご覧いただきありがとうございます。

 

心法書道では、同時に楷書は欧陽詢を、行書は王羲之を、草書は孫過庭を、という学び方をしません。取り組む対象は、常にひとつです。

なぜなら臨書する目的が、書き手の人間性に近づき融合するためだからです。

 

未婚で30歳目前、言葉も出来ないし知り合いもいない、そんな私が北京へ書道留学してまず最初に師匠である佛涛老師に言われたのが、「欲を断つこと」。

ただひとつ自分の好きな書を選び、その中の好きな一文字、それだけに集中しなさい。

 

ひとつ?! しかも一文字?!

 

それなりに一大決心で臨んだ留学、欲深い私は正直苦しかったです。中国語を学びながら、師匠の話の意味を理解しようと、ただただ一文字に向き合う毎日、まさに暗中模索でした。

 

悩みや迷いは、長くそしてたくさんありましたが、早い段階で理解できたことがあります。それは、書にはその人物が出るということ。「書は人なり」とよく言われますが、それがストン!と、そしてガツン!と腑に落ちました。

 

師匠の教えが紐解けるかもしれない、と思えた第一歩でした。

 

 

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