写真における創作表現 | 石崎幸治の身辺雑記

石崎幸治の身辺雑記

身の回りで見聞きしたことを写真と絵と文章で綴る

 全ての写真に著作権があるそうだが、スマホでチョコッと撮った写真も著作物かなと思ってしまう。著作権法では思想又は感情を創作的に表現した物を著作物としている。メモ代わりに撮影した写真は、思想や感情を創作的に表現していると思えないから著作物に当たらないのだろうか。

 

「写真は被写体の選択,カメラアングルの設定,シャッターチャンス,光線による陰影の付け方,色彩の配合,部分の強調・省略,背景等の諸要素を総合してなる一つの表現である」とされている。しかしカメラを選び、照明を用いるなど高度の撮影技術を駆使した成果なのか、オートフォーカスカメラやスマホで簡単に撮影した写真なのか見る人は判断できない。

 

 写真における表現の独自性と創作性の優劣はあると思うが、主観的な判断に委ねられるから個々を数値化して判定することはできない。絵画におけるタッチ、文学における文体に相当するものが写真にもあるのだろうか。フィルムの時代に故意に高温で現像して粒子が粗く、コントラストの強い写真を発表した人がいた。一部の人から失敗写真だと言われたが、その後は写真表現の一つだと認められるようになった。

 

料理全体にピントが合っていることが当たり前だったときに、料理の一部しかシャープでなく前後がぼやけている写真も初めて見たときは衝撃的だった。魚眼レンズや超望遠レンズなどの特殊なレンズを使用する、あるいは撮影後に画像処理ソフトを使って自分が思い描いたイメージに近づける作業をする。しかし創意工夫して創り出した画像も写真の知識がある人が見れば大抵再現できてしまう。誰が見ても独自の表現であると認める写真を撮りたいと模索している。

 

※戦争カメラマンのロバートキャパが発表したスペイン戦線での一コマである銃弾受けて崩れ落ちる兵士。後の研究でライフルに銃弾が装填されていない状態だった。撮影時期にこの地域では戦闘がなかったことがハッキリしている。そしてライカで撮影したように3×2の比率でプリントされているが、原盤はブローニー判でキャバの恋人が撮った写真だったらしい。高校の歴史の教科書にも載っていて凄い写真だと信じていました。