【ある職人の「はてしない物語」】

最近、映画ネバーエンディングストーリーの原作となる「はてしない物語」を読み終えました。この原作を読まれてる方は少ないと思いますが、映画以上に、「願いを叶えることの難しさと大切さ」を伝えています。600ページもあるこの壮大なファンタージェンの世界から、僕は画家として、初心に戻り大事なことを学びました。

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そして昨日、一冊の本が届きました。落ち着いた緑色の表紙に、金色で印字られたタイトル「cultivate bible」(耕す(育てる)聖書)。盟友として20年近くになる、新潟の鎚起銅器職人大橋 保隆 さんが発行者となった本です。彼は前作「俗物」を、自分の墓石だという覚悟で出版され、今回2冊目は聖書(バイブル)として、彼の立ち上げた株式会社カルチベイトの名前の由来から、素晴らしい本を作り上げました。

彼に関わる60名もの仲間より、それぞれの(カルチベイト)をエッセイとして寄稿しています。その中の一文を、画家として寄せさせていただきました。

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まさに珠玉の一冊と言えるでしょう。この本を世に送り出すために、どれだけの尽力と誠意が紡ぎ上げられたのか、想像しがたいほどの時間と議論と編集のすべてが、この本に込められていることは瞭然です。カルチベイトとは。それぞれの人生において(耕すべきこと)を考える。

美しい器を浮かび上がらせる職人としての志事だけでなく、社会活動や保養活動を通して、傷ついた社会への安らぎや、変革をもたらす努力を続けておられます。

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この本の前半は、太宰治の「正義と微笑」原文が掲載されてます。太宰の呟き、カルチベイトという言葉。語り尽くしても尽きない情熱の結晶を、現代の作り手が受け継いで、耕し、広げていく・・この本の役割はとても大きいことでしょう。皆様にも手に取っていただきたい一冊です。

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ここに、1人の職人の「はてしない物語」がある。願いを叶えるために、私たちは夢の国に旅立つ・・。そして、この世に戻って来れるかどうかは、あなただけの最も深い願いを見つけ出せるかどうにかかってます。全ての記憶を無くして手に入れた主人公バスチアンの願いは「愛すること」。私はなんだろう。なんだろう。と問いかけます。

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大橋保隆

https://tsuiki-oohashi.com/