夢で印象的な景色を見ると、記録のためにスケッチするようにしている。これは僕にとって大事な作業だ。毎日観る夢の中でも、特に印象的なものには、さまざまな示唆が含まれている。今回は、意味するものはわからないが、色彩や光に何かがあるかもしれない。何か大切なものが含まれている。

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目の前の一本の枯れ木は、燻銀の色をもち、堂々と立っている。

伸びる影は、さらに薄いパールのような白銀。曇り空も鈍色のグレー。しかし世界はモノトーンではない。紺色、プルシャンブルーのような空気感が、冬の光を際立たせている。
目が覚めて思うのは、映画「パーフェクトデイ」の主人公・平山が見ていた夢はモノトーンだったが、僕の夢は明らかに色がある、という違いを認識する。




曇り空。グレー。イギリスを感じさせる。大きな黒く透明な川に、大きなオブジェのようなものが沈んでいる。何か、爆撃のあとに建物の一部が川に落ちてきたのか。原爆ドームのような形でもある。
それを教授らしき老紳士が解説している。その所以を。内容は難しくてわからない。ただ、圧倒的である。世界の終焉のようであり、始まりのようでもある。目が覚めて、あのオブジェは金魚の残骸のようにも思える。









教授は、川縁に立つ巨大な塔に案内する。さまざまな残骸で組み立てられたその塔は、雲まで達している。(が、曇り空なので、雲自体は低い)。教授はまた何かを解説し、塔の内部近くまで入っていく。僕は危険だなと思って傍らで見守る。教授は謝って、何かのレバーを踏む。すると、ベルトコンベアーから大量の生コンクリートが流れてくる。

教授は悲鳴をあげているが、その流れに巻き込まれている。僕は距離があったので、うまく逃げ仰る。生コンクリートは、川辺と並んで、次々と運ばれる。



そこで目が覚める。

塔は、建つというより、天と繋ぐ架け橋のように感じる。さまざまな想念、善悪入り乱れた不安要素のようなものが積み重ねられて、危いバランスでそびえ立っている。
生コンクリートはなんだろう。不快ではない。排泄物のようにも感じるし、何かを作り上げる源のような気もする。が、生き物のようだ。

教授は誰だったんだろう。導き手であることは違いない。全体的にシルバーやグレーのような夢のトーンは、昨夜の雨によるものなのか、心境なのかはわからない。