骨折をして。

向きあうべき世界を描く決意ができた。


息子はクラス替えで泣いてばかりいたが、今日は園長先生に、「今日は泣かなかったよ!」と報告したらしい。


大きな市営公園では、トラックを初めて二周走れたそうだ。


ご時世は大変だけど、

確実に変わっていくものもある。


骨折をして。

僕はただひたすら

地平線を描いている。


こんな平凡な絵・・

散々見たことあるような絵・・


という声をなだめながら、

それでも、描きたいんだという気持ちを大切にしている。


命の原郷たる世界。

地平線。


まるで、飛行機の機内の丸い窓。

座席は遠く、小さな風景しか見えない。


けれど、描いていくうちに窓はどんどん近くなって。

近くなればなるほど、外の風景は、広い範囲でみえてくる。


いつの日か、気圧の壁を超えて、窓の外に出られたなら。


あの風景と同化できたなら。


そう願って、今日もしっかり、見える範囲の風景を丁寧に描いていくことにする。



おわり。