先週の水曜日は、私の故郷である

愛媛県の松山市で講演をしました。

 

 

その翌朝、松山城がある城山の

すぐ南側にある全日空ホテルの

最上階のレストランで、

五月晴れの朝日を浴びて屹立する

城山を眺めながら朝食をとりました。

 

そのとき城山をみて思い浮かべたのは、

母なる山という言葉でした。

 

私は30代半ばに米国に留学して、

そのときに米国の国立公園を

数多くめぐりましたが、

山々は峻厳で木々もまばらで

男性的な景色が大半だったように

思います。

 

それに比べると、松山の城山は、

様々な濃淡のある緑色の木々の塊が

塩梅よく配合され山を埋め尽くしており、

山全体の木々がお互いに助け合っている、

もっといえば生命力が

共振しているのではないかという

印象をもちました。

 

つまり、山全体を埋め尽くした木々の

生命力が共振してお互いを助け合い、

それぞれの役割を精一杯

はたしているのではないかという

印象をもったので、

母なる山という言葉がでてきたのでした。

 

それに比べて、私のみた米国の山は、

生命力の強い木だけ生き残ればいい、

もし生命力が弱い木が枯れればすぐに

生命力の強い木にとってかわられるという、

今の米国の社会を髣髴とさせるものでした。

 

この日本と米国との

自然のたたずまいの差が、

彼我の文化の差に直結しているように

感じました。

 

 

そして先週の土曜日は、

2024年上半期の

第2回「薬を使わない脳疾患の治療法」

コースを開催しました。

 

最初に私が「脳機能から見た認知症と

発達障害の原因」について

講義をしました。

 

その中で、上記の話とも関連しますが、

幕末から明治にかけて来日した外国人が、

日本人が子供たちに

深い愛情をそそいでいるのをみて

非常に感銘をうけた報告がありますので、

以下に引用します。

 

「フレイザー夫人(註:明治期に日本に

着任したイギリス公使夫人)は、

日本の子供に関して、

怒鳴られたり、罰を受けたり、

くどくど小言を聞かされたりせずとも、

好ましい態度を身につけてゆくと

感じました。

 

彼らにそそがれる愛情は、

ただただ温かさと平和で彼らを包みこみ、

その性格の悪いところを抑え、

あらゆる良いところを伸ばすように

思われたのでした。

 

日本の子供はけっしておびえから

嘘を言ったり、誤ちを隠したりはせず、

青天白日のごとく、

嬉しいことも悲しいことも隠さず

父や母に話し、一緒に喜んだり

癒してもらったりする、

幸せに満ちた一体感がありました。

 

彼女は、小さな家庭では

子供がすべてを牛耳っていると

認めながら、それでもけっして、

彼らが甘やかされてだめになることはなく、

分別がつくと見なされる歳になると

ーいずこも六歳から十歳のあいだですが―

彼はみずから進んで主君としての位を退き、

ただ一日のうちに大人になってしまうと

考えていました。」

(「逝きし世の面影」渡辺京二著)

 

このように、子供たちとまわりの大人の

魂が共振していたので、

すべての子供は幸せに育って、

ちゃんとした大人になっていったのでしょう。

 

戦後日本はこのような家庭が

崩壊したことが、

昨今発達障害が急速に増加している

根本的な原因だと私は感じています。

 

 

次いでエジソン・アインシュタインスクール

協会理事長の鈴木昭平先生に

「発達障害の症状が短期間に改善。

その困ったを改善させる栄養素の話」

というテーマで講義をしていただきました。

 

 

彼は過去7000例の発達障害児と関わり、

その現場から学んだ非常に興味深い

話をしていただいたので、

一部を以下に引用します。

 

 

〇一歳半検診では、

発達の遅れがはっきりわかっているのに

診断をつけず、「様子をみましょう」と

医者からいわれるため、

両親が様子をみていいんだと思うことが

問題である。

つまり、一歳半から先の貴重な時間を、

診断がついていないせいで、

治療も何もせずに過ごしてしまい、

発達障害児の改善を困難なものに

してしまうのである。

そして、3歳のときの検診で、

医師が「お子さんは発達障害です。

これは遺伝的なもので治りません」と

突然宣告され、この時点で

治療をすれば改善するのに、

親が治すことをあきらめてしまうことも

問題である。

 

〇発達障害は発達の凸凹であり、

凹部分が改善すれば

発達障害は改善する。

発達障害児は右脳の一部が通常より

異常に発達しており、

たとえば味、音、色に敏感である。

鈴木先生の患者で500種類の色を

みわけることができる発達障害児がいた。

凹部分を改善したうえで、

凸を生かした職業につけば

非常に優秀な人間になる。

 

〇赤ちゃんの脳は、体重の10%以上で

300-400gである。

これが6歳になると

1200gと急速に大きくなるので、

6歳までが、発達の遅れを取り戻す

絶好のチャンスになる。

 

〇ご両親の意識改革と

指導力の開発が重要で、

親が発達障害は絶対に治ると信じて

改善に取り組むことが大事である。

 

 

●発達障害の治療の基本は、

過剰ストレスを与えないこと。

MIT(マサチューセッツ工科大学)の

エドワード教授が行った

スティルフェイス実験というのがある。

これは、母親が笑顔になると

赤ちゃんが笑顔になる一方、

たった2分間であるが

無表情を続けると赤ちゃんは

ストレスを感じて泣き出した、

という実験で

いかにストレスが子供によくないかを

示している。

 

●3歳まではとにかくほめる。

ほめ育てをするには、笑顔、誉め言葉、

ぎゅっと抱きしめる、ということを

繰り返し行う。

3歳以上になり、発達検査表

(註:鈴木先生が開発したもので

これを用いることで

発達障害の改善を短期間で

行うことができる)

で90%を超え、我慢、自信、思いやりが

できるようになれば、叱ることも始める。

我慢とは待つことで、待つことができれば、

「前より我慢強くなったね」と

笑顔でほめる。

思いやりの回路をつくるには、

その子ができそうなお手伝いを

させてほめる。

暗示をかけるのは、お風呂に入ったときに

左耳にささやくのが効果的である

(思いやりがあるね等)。

叱ることの4原則は、わがまま、

いじわる、うそ、欲張りに対して叱る。

なぜ叱るかといえば、

これらは放置すると

犯罪につながるからである。

叱るときは、大声で叱るのではなくて、

耳元で小さな声で

(わがまま等を指摘する)ささやく。

 

 

以上のように、非常に現場に即した話が多く、

鈴木先生には感謝いたします。

 

 

 

そして先週の日曜日は、

2024年上半期の

第3回S-BRAINフォローアップコースを

開催しました。

 

 

本人のつけた脳テストと、

本人になりかわっておこなった

観察者の脳テストを比較して、

本人の脳の使い方を

より正確に解析するワークを

行いました。

 

その中で、子供が本人で

親が観察者であった例が2例あり、

もし脳テストを行わなければ、

親であっても

一生理解できなかったであろう

子供の脳の使い方が、

このような形で脳テストを実施することで

正確にわかったことは、

今後の親子関係と子供の

これからの人生を改善していくうえで、

脳テストが非常に有用な

ツールであることを

再確認できたワークとなりました。

 

また、篠浦塾健康指導師がフォローする

患者の第一例目も決まり、

小さな一歩かもしれませんが、

医療にとっては歴史的な一歩であると

感じました。

 

 

今後も受講生の皆様と一緒に学び、

医療と教育を改善していくことを

大変楽しみにしております。

 

 

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