3月23日日曜日の患者目線の会で、
御年89歳になっても
全く年寄りらしさがなく、
動きも軽快な食養の専門家の
児玉陽子先生に、
彼女のライフヒストリーを
語っていただきました。
彼女は病院の食事で病気を治す
いわゆる食養に長年携わってきており、
なぜ携わるようになったのか、
食養とはどんなものかなどに関して
語っていただきましたので、
私の感想を一部入れながら
ご紹介したいと思います。
〇「昭和27年16歳のときに
東京に出て横浜に家を建てる。
そのとき慢性皮膚病になった。
自由が丘の路上で売っていた
コハダを食べて、
顔を含めて全身に湿疹がでた。
兄弟は上に男が8名いたので、
家の食事は動物性のものが多く、
自分の体質にあわなかったため
アトピーになった。
いろいろな大学病院に行っても治らず、
西洋医療はあきらめて
二木謙三式の断食道場
(二木謙三式は塩はほとんどとらず、
根菜類もなく、生野菜がごっそり出る。)
で断食をして
皮膚はきれいになったが、
胸のレントゲンをとらずに
断食をしたため、
肺の上葉が結核でやられ、
洗面器一杯分の血痰が出た。
それで、23歳のときに
東邦医大大森の結核病棟に
一年間入院した。
そのときの結核病棟の責任者が
日野厚先生で、
入院した彼女をみて、
また失敗をだしたといった
(断食道場で結核になる人が多い
という意味)。
そのため入院した結核病棟では
二木健三式とは逆の
桜沢如一式(水をほとんどのまない。
塩が多くてしょっぱい)
で食べていると、元気になった。
しかし、元気になったのはいいが、
皮膚病が再発した。
それらの体験を通して
中庸の大切さを覚えて元気になる。」
人間の体は、
当然自然の摂理が働いているので、
極端な食事療法をすると、
最初は今までの悪い食事が
相殺されていいのですが、
しばらくすると逆方向に振れて
病気になるということを、
この経験は如実に示しています。
私は1、2週に一度、
メタトロンでどの食が私に合うのか
調べていますが、
たとえば小松菜が合うと出たので
毎日食べていると、
しばらくして合わない食に
はいってしまい、一旦中断すると
また合う食にはいったという
経験があります。
納豆も同じでした。
つまり、
一部の体にいいといわれる食は、
食べ過ぎることで逆に
健康を害する可能性がある
ということです。
メタトロンで
頻繁に検査ができない人は、
常に自分の体にアンテナをはって、
何が合って何が合わないかに
常時敏感になる必要があるでしょう。
児玉先生は、食を買う前に、
一人オーリングといって、
食に指をあてて
息がスムーズにできるかどうかで
判断しているとのことです。
これも、
うまく活用できるようになれば
有効な手段かと思います。
〇「食養内科には、
慢性の難病で、
どこにいっても治らない人が、
食事療法でもしようかといって
集まる科である。
だから、全科がみえる。
胃がんの末期とか、
あっという間に死ぬ人が多い。
しかし、食事を変えると
かなり効果が出る。
日野先生の外来は
一人30分かかるので
せいぜい1日に10人くらいしか
みれなかったが、
よくなっている人が多い。
日野先生は、
元々過敏性腸症候群で苦しんでいた。
ひどい下痢を繰り返していて、
3分粥しか食べれず、
アヘンで下痢をとめていたのを、
上記の桜沢式で改善させた。
そこで、
上の娘を桜沢式の食事にして、
つまり塩をたっぷり与えて
水をあまり与えなかったら、
便所の雑巾をなめて
水をとろうとした。
日野先生の姉も、桜沢式で、
子供6人を立て続けになくした。
二木式
(陰の食養。野菜、果物で
カリウムをとる。味がほとんどない。)、
桜沢式
(陽の食養。ナトリウムをとる。
しょっぱい。)、
西式
(甲田先生が採用。生野菜中心)
をうまく組み合わせて、
人の体質や
そのときの体調に合わせてやり、
自分に合うものを
自分でみつけることが肝要である。」
児玉先生は、
本に書くとそのとおりにするので
食養の方向性を間違える、
とものべています。
食に関しては、
本に書いたことをまじめに守る
原理主義はだめで、
先ほどのべたとおり、
自分の体と相談して
柔軟に変えていくことが
肝要でしょう。
また、児玉先生は、
好きなものを食べることで
病気になるともいっています。
ストレスを感じると
ジャンクフードを食べたくなり、
それが原因で病気になってしまう
といったこともその一例でしょう。
日本の食養の様々な流派を、
自分の身をもってすべて経験した
児玉先生ならではの結論かと思います。
〇「私は、生態学的栄養学研究会の
主催をしていた。
生態系の中でしか、人間はいきれない。
昔は、季節の物しかなかった。
今は、冬でも
キュウリ、トマトを売っている。
自然食の店が
すべていいわけではない。
今、健康にいいと言われている
バナナも、青いまま輸入して
室で熟成させているので
よくない。
バナナは木で熟れたものがいい。
自然の摂理を理解するべきである。」
これからの医学は、
人間の体に働いている
自然の摂理を理解することから
始まると思います。
日本人は歴史が長いので、
食に関しても
和食という健康にいいものが、
長い歴史で完成されて、
江戸時代までは続いていました。
明治から西洋的な食事が
徐々に普及し、
戦後それが加速して
生活習慣病が右肩上がりに
増えるようになりました。
日本人の健康は、
長い歴史で
自然の摂理に合わせて培われたものに
回帰することで、
いい方向に向かうと思います。
これは食のみならず、
日本人の生き方の軸、
つまり自然の摂理に沿って生きる
日本精神に回帰することが
健康につながると私は考えています。
児玉先生の講義のあと、
受講生に病気から
どう回復していっているのかに関して
具体的に話していただきました。
西洋医療のみの治療法ではありえない、
多くの奇跡的なことが
起こっていることに
大変感銘をうけました。
なぜそのような
奇跡が起こっているのかの理由は、
やはり篠浦塾の医療の基本に、
かつてあったような、
日本精神をもったコミュニティーで、
自然治癒力を上げる治療法を学ぶ
ということを据えていることが
大きいように思います。
そのような環境で1年、2年学ぶと、
他人任せではなく、
自分が主体となって学びながら
病気と向き合い、
様々な治療法を試して
良くなっていくのを実感して、
さらに仲間と学びを深めようという
意欲がでてきて、
健康に近づいていくという
好循環ができます。
篠浦塾の方向性が、
病気の改善に
本当に役に立っているという
感動的な発表をしていただいた受講生に
感謝いたします。
紙面の都合によりここで終わりますが、
先週土曜日は予防医療中級セミナー、
日曜日はS-BRAIN ADVISERコースを
行いました。
4月は新たなスタートになります。
今後受講生と
このような学びを深めるのが
大変楽しみです。
篠浦塾ホームページ
セミナーのページ
https://shinoura-juku.com/seminar/