50年目の告白 | 良田 寛(ペンネーム) 新老いらくの記

良田 寛(ペンネーム) 新老いらくの記

いつのまにか「老いらくの記」という言葉が似合う、それなりの歳になってしまいました。
精一杯生きてきた事を何かに残したい、足跡を何かの形で残したいと思っています。

 久しぶりに高校時代の仲間が集まった。高校時代の部活の仲間たちで、我々の年代は非常に仲が良い。高校卒業後は別々の道を歩んだが、今でも何かあればすぐに集まる。この2-3年はコロナで飲む機会はすっかり減ってしまい、今回は久々の飲み会だ。この年になると、昔話と残された人生をどう生きるか、何をするかがメインテーマとなる。
飲んでいる席である友人が言う。
「俺、古文の勉強をしたい」
確かに仕事を終え、人生の終わりに向かってやりたい事、やり残した事をやる・・・という考えはよく分かる。友人が言うには高校時代勉強もせず、古文が全く解らなかった。だから今勉強したい。私を含め集まった仲間は勉強した方ではなかった。だからなおさらその気持ちはよく分かる。
「〇〇先生(高校の時の先生)に教えてもらおう」

「みんなも付き合え」
実は当時の部活の顧問は国語の先生だった。大学を出たばかりの新任だったから歳は5〜6歳しか違わない。高校卒業後も付き合いは続き、たまにある飲み会にも顔を出してくれた。その友人が今から電話をして聞いてみると言う。席を立ち数分後に戻ってきた。話の内容を要約すると
  古文を教える事はかまわない
  勉強するのであれば徒然草が良いだろう
  当時新任で古文を教えてはいたが、当時は自分も教え方がよく解らなかった・・・

 最後のセンテンス、ここでそんな話が出てこようとは誰も思わなかった。先生にしてみれば時効だと思っての告白なのだろう。我々も今更聞いたところでどうしようもない。ただ我々の成績の悪さの一端は先生にも責任があったのだ・・・
こんな話もこの歳になれば笑い話で済んでしまう。そんな昔もあったのだとみんなで笑ってしまった。